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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
細菌性膣症
(
2023/03/28 更新
)
細菌性膣症の治療
臨床状況
腟炎および子宮頸管炎を引き起こす(Amsel基準 以下4つのうち3つに該当,Nubent基準 膣グラム染色)
悪臭のある薄い乳白色の多量の膣分泌物
pH>4.5
Whiff test(膣分泌物に10%KOH 溶液を添加すると,魚臭[fishy odour]を発する)
クル-セル (clue cell) (細菌が付着した上皮細胞)
性行為で感染する可能性はあるが,性感染症ではない.亀頭炎がなければパートナーを治療する必要はない
病原体
原因菌は不明だが以下に関連
Gardnerella vaginalis
Mobiluncus
属
Mycoplasma hominis
Prevotella
属
Atopobium vaginae
Lactbacillus
属は保護的な働きをする
NAATは,上記細菌の存在有無に基づいた検査である
第一選択
MNZ
500mg経口1日2回・7日(2g経口1回投与を用いないこと)
MNZ
膣ゲル†(膣内塗布器1個)1日1回・5日
膣内塗布器1個は5gのゲルを含み,MNZ 37.5mgに相当する
Lactobacillus
:ランダム化二重盲検プラセボ対照試験において,腟内プロバイオティクスLactin-V(
Lactobacillus crispatus
)は再発を抑制し,12週での再発率はプラセボ群で45%,Lactin-V群で30%だった(P=0.01).試験では,Lactin-VはMNZ処方の終了後開始された.用法は腟内塗布1日1回を4日,その後週2回を10週.文献:
N Engl J Med 382: 1906, 2020
2%
CLDM
膣クリーム†5g就寝前膣内投与・7日
妊娠時の注意
早産と関連するため,妊婦で症候性の場合は全員治療すること.早産歴がなければ無症候の患者をスクリーニングする必要はない
MNZは妊婦に使用しても安全と考えられている.早産や先天性異常のエビデンスはない(
Curr Drug Saf 10: 170, 2015
;
Pharmacotherapy 35: 1052, 2015
)
(†:日本にない剤形)
第二選択
チニダゾール
2g経口1日1回・2日,または1g経口1日1回・5日
CLDM
300mg経口1日2回・7日
CLDM
膣坐剤†100mg就寝前膣内投与・3日
Secnidazole
経口顆粒:2g包の顆粒を1回,ヨーグルト,りんごソース,プリンなどとともに30分以内に服用
治療を受けた患者の臨床反応はSecnidazole 68%,プラセボ18%だった
再発性・難治性細菌性膣症では以下を考慮する
MNZ
0.5g経口1日2回・7日,次いで
ホウ酸ゼラチンカプセル†600mg就寝前膣内投与・21日,次いで
MNZ
膣ゲル†1塗布器,週2回・16週
治癒率は88~92%との事例報告がある:
Sex Transm Dis 36: 732, 2009
(†:日本にない剤形)
コメント
CDC性感染症ガイドライン(2021)参照:
MMWR Recomm Rep 70: 1, 2021
MNZおよびチニダゾールはアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼを誘導せず,アルコール摂取に伴うジスルフィラム様作用を支持するデータは強力なものではない:
Antimicrob Agents Chemother 64: e0216, 2020
2021CDC性感染症ガイドラインは,
Trichomonas
または細菌性膣症治療でMNZを服薬した場合のアルコール摂取禁止を現在では推奨していない:
Clin Infect Dis 74: S152, 2022
病因は複雑であり,不明の点も多い:
J Infect Dis 214: S1, 2016
禁欲するかコンドームを使用すれば,治癒率は50%上昇するとの報告がある.
Clin Infect Dis 44: 213, 2007
;
Clin Infect Dis 44: 220, 2007
MNZ徐放錠†750mg経口24時間ごと・7日が使用できるが,公表されたデータはない
妊婦
経口MNZまたは経口CLDM 7日処方.カナダの産婦人科ガイドラインを参照:
J Obstet Gynaecol Can 30: 702, 2008
米国予防医学専門委員会は,妊婦では細菌性膣症のスクリーニングをしないよう推奨している(
JAMA 323: 1286, 2020
)
(†:日本にない剤形)
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2023/03/27