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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
トキソプラズマ症-概説
(
2025/04/08 更新
)
概説
Toxoplasma gondii
は細胞内寄生性原虫である.
全世界の人口の1/3以上は感染している(血清陽性率に反映されている).
有病率は世界的にばらつきがあり,全体的な血清有病率は低下している:
Am J Trop Med Hyg 98: 551, 2018
.
ほとんどの例は無症候性
免疫不全患者での日和見感染の重要な原因微生物(AIDS関連日和見感染).
免疫不全患者では脳膿瘍がもっとも多く,免疫正常者では眼疾患が多い.
北半球では3つの遺伝型が多いが,世界の他の地域では遺伝型はより多様である.
南アメリカの遺伝型は病原性が高く,ブラジルおよびラテンアメリカの患者では有症候性が多い.
狩猟肉(鹿肉)の摂取に関連するより重症の症例多発が米国で報告された.
ヒトへの感染は以下のように起こる:
ネコ糞便からのオーシストに汚染された食物や水の摂取(二枚貝やカキでオーシストが濃縮されることがある)
加熱が不十分な獣肉(牛肉,ラム肉など)からのシストの摂取
感染した母から胎児への伝播(先天性トキソプラズマ症,TORCH症候群の“T")
感染したドナーからの輸血や臓器移植
臨床状況
免疫正常者では,初期感染は通常無症状
免疫不全患者は脳炎,脳膿瘍,播種性感染を発症することがある
後部ぶどう膜炎の感染性原因としてもっとも多く(特に南アメリカ),網膜(脈絡網膜炎,網脈絡膜炎ともよばれる)や視神経に及ぶこともある.
潜在性感染は生涯続くと考えられる.
潜在性感染(組織内シストの虫体(bradyzoites))の再活性化は,免疫不全患者での臨床的トキソプラズマ症の原因と考えられる.
2024年9月に改訂された
日和見感染の予防と治療に関するガイドライン
診断
診断は通常抗体検査(IgMおよびIgG)による.
J Clin Microbiol 42: 941, 2004
参照.
通常PCRが陽性ならば,眼,中枢神経系,先天性,播種性病変におけるPCRは有用.特異度は高いが感度は低い.
血液を含む体液のメタゲノミクスで診断が可能.
血清陽性免疫抑制患者(特に造血幹細胞移植)の感染モニターには通常PCRが用いられるが,どの施設でも可能なわけではない.
CDC関連検査施設:診断検査に特化した施設としてDr. Jack Remington Laboratoty.
以前はPalo Alto Medical Foundation Toxoplasma Serology Lab(+1 650-853-4828)と呼ばれていた.
Chicago National Collaborative Treatment Trial Study +1 312-513-6365またはrmcleod@bsd.uchicago.eduは,小児の臨床診断または治療を支援する(あるいは薬剤の入手の助言をする).
関連項目
トキソプラズマ症-免疫正常患者
リンパ節腫脹,単核球症
先天性トキソプラズマ症
妊婦の
T. gondii
感染
眼トキソプラズマ症(脈絡網膜炎,網脈絡膜炎ともよばれる)
トキソプラズマ症-HIV/AIDS患者
脳炎/脳膿瘍
眼トキソプラズマ症(脈絡網膜炎,網脈絡膜炎ともよばれる)
移植患者-トキソプラズマ症の予防
脳炎/脳膿瘍
眼トキソプラズマ症(脈絡網膜炎,網脈絡膜炎ともよばれる)
播種性
臓器移植および造血幹細胞移植における感染
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2025/04/07