日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

移植患者-トリパノソーマ症の予防  (2024/11/19 更新)
固形臓器移植患者


臨床状況

  • シャーガス病による心筋炎のために心臓移植を受けた患者で Trypanosoma cruzi 感染の再活性化がみられた.
  • 潜在的感染があり,心臓以外の固形臓器移植を受けた患者で T. cruzi 感染の再活性化がみられた(Clin Infect Dis 29: 561, 1999).
  • 感染のなかったレシピエントが T. cruzi 感染臓器の提供を受けたために起こった原発性 T. cruzi 感染(ドナーからの感染)(Am J Transplant 13: 2418, 2013).
  • 固形臓器または造血幹細胞移植の際の血液製剤輸血により原発性 T. cruzi 感染が起こることがある(米国の血液製剤は検査済み).

病原体

  • Trypanosoma cruzi (クルーズトリパノソーマ)

第一選択

  • 成人(年齢≧12歳):Benznidazole 5~7mg/kg/日経口1日2回に分割(12時間ごと)・60日
  • 副作用があるため5mg/kg以上は使用しない.一部の専門家は,成人の治療について,体重に関係なく300mg/日・60日投与するか,または300mg/日を用いて総投与量が5mg/kg/日・60日となるよう投与期間を延長する.
  • 入手可能な剤形:Benznidazole(市販品,FDAは年齢2~12歳について12.5および100mgを承認.CDCは成人の適応外使用を推奨している).
  • Exeltis(Foundation Care)が接触しているFast-accessプログラムでは,十分な保険に入っていない患者に無料で薬品を提供している.
  • 小児(年齢<12歳):Benznidazole 7.5mg/kg/日経口1日2回に分割(12時間ごと)・60日
  • 南アメリカで用いられている小児用錠剤(LAFEPEおよびELEA)は,広く流通してはいない.

第二選択

  • Nifurtimox 8~10mg/kg/日1日3回に分割・90日

コメント

  • 無症候の患者に対する予防的治療は推奨されず,治療の要否の決定にはPCRおよび末梢血スメアによる初期モニターが望ましい.検査はCDCを通じて行うことができる(下記参照).
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2024/11/18