Nifurtimox (2024/09/03 更新)
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Contents
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 薬理学
4. 薬物動態
5. 主要な薬物相互作用
6. コメント
1. 用法および用量
1. 使用
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WHOは,脳脊髄液中の白血球が<100の場合,入手可能なら現在ではFexinidazoleの方が好ましいとしている.
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FDAは2020年8月,Lampit(バイエル)について,18歳以下の患者におけるT. cruziに対する使用のみを承認.CDCは成人に対する適応外使用を推奨すると考えられる.市販の予定は不明.製薬会社のサイト.
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妊娠可能な女性は治療開始前に妊娠検査を受ける.治療中および最終投与から6カ月は効果的な避妊法を指導する.
2. 成人用量
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Trypanosoma cruzi(シャーガス病):8~10mg/kg/日経口1日4回に分割・90~120日
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西アフリカトリパノソーマ症:Nifurtimox 15mg/kg/日経口8時間ごとに分割・10日をEflornithineと併用(略称NECT).
3. 小児用量
用量(生後>28日)
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新生児(体重≧2.5kg)~<18歳: 体重≧40kg:8~10mg/kg/日(1日3回に分割)・60日 体重<40kg:10~20mg/kg/日(1日3回に分割)・60日
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最大/日
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4. 腎障害時の用量調整
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Nifurtimoxの薬物動態に対する腎障害の影響は不明.現在まで発表されたデータからは,血液透析が必要な末期腎障害患者では血中濃度の上昇が示唆される.患者を注意深くモニターする.
5. 肝障害時の用量調整
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Nifurtimoxの薬物動態に対する肝障害の影響は不明.患者を注意深くモニターする.
2. 副作用/妊娠時のリスク
副作用
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患者の多くは少なくとも1つ以上の副作用を経験する.副作用は小児よりも成人で多く,厄介な傾向にある.
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消化器:腹痛,悪心/嘔吐,下痢,食欲不振,体重減少(すべて非常に多くみられる)
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神経系:易刺激性,情動不安/興奮,神経質/不安,不眠/傾眠(多い),抑うつまたは気分変動/変化,失見当識/錯乱/健忘,回転性・浮動性めまい,視力障害,平衡感覚障害,異常感覚,振戦,まれにけいれん発作.末梢性神経障害は比較的まれ.用量依存性の副作用が治療コース晩期に現れることがあり,速やかに中止が必要.症状は可逆的だが,完全消失には数カ月を要することがある.
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全身症状および/または筋骨格系の症状:筋肉痛,関節痛,疲労感,脱力感,発熱,悪寒,発汗
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皮膚:皮膚発疹,紅斑,そう痒
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モニタリング:治療前,4~6週後,治療終了時に臨床検査値(全血球,肝酵素,ビリルビン,血清クレアチニン,血液尿素窒素)を確認.末梢神経障害の症状および所見を2週間ごとに評価する.
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2001~2021年にCDCの臨床試験で米国でNifurtimoxによるシャーガス病の治療を受けた患者にみられた副作用:胃腸(68.7%),神経系(60.5%),全身症状(46.5%).有害事象は,吐き気(50.6%),食欲不振(46.1%),体重減少(35.0%),頭痛(33.3%),腹痛(23.1%).重篤な有害事象は10%.有害事象の要約:MMWR 71: 371, 2022.
妊娠時のリスク
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FDAリスク区分(新):動物研究では胎児障害の可能性が示唆された
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授乳中の使用:安全性は確立されていない.乳児では毒性をモニター
3. 薬理学
PK/PD指標
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データなし
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剤形
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錠(30mg,120mg)
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食事に関する推奨(経口薬)1
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錠:食事とともに服用
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経口吸収率(%)
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データなし
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Tmax(時間)
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4
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最高血清濃度2(μg/mL)
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425~568ng/mL(120mg経口,SD)
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最高尿中濃度(μg/mL)
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データなし
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蛋白結合(%)
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42
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分布容積3(Vd)
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データなし
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平均血清半減期4(T1/2, 時間)
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2.4~3.6
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排泄
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代謝(ニトロレダクターゼ)
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胆汁移行性5(%)
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データなし
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脳脊髄液/血液6(%)
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データなし
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治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
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データなし
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AUC8(μg・時間/mL)
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1676~2670ng・hr/mL(120mg経口,0~inf)
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注記のない場合は成人用経口製剤
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SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
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V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
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CrCl>80 mL/分と想定
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(胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
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炎症時における脳脊髄液濃度
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薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
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AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x
4. 薬物動態
5. 主要な薬物相互作用
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アルコールは副作用のリスクを増加させる可能性があるため,避ける.
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神経毒性のある他の薬剤との併用には注意すること.
6. コメント
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治療中は患者の体重をモニターし,必要があればNifurtimoxの用量調整を行う.
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