日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

ぎょう虫  (2025/12/23 更新)
ぎょう虫,ぎょう虫症


臨床状況

  • 腸内線虫.通常は小児で夜間の肛門周囲の掻痒を引き起こす.
  • 成虫の移動が虫垂炎や終末回腸閉塞を引き起こすことがあり,また女性では,成虫が夜間に肛門周囲の皮膚から子宮内膜やファローピウス管に侵入し,そこで死ぬと炎症や閉塞を引き起こす.
  • 小児に多い.
  • 肛門を掻いた指の爪に卵が入り込み,それを口にすることによる再感染がある.
  • 家庭内で1人以上の感染があれば,環境が卵で汚染されているため家族全員を治療する.
  • 成虫(肉眼で見られる)が肛門周囲で,または肛門・直腸や膣検査の際に発見されることでも診断される.

病原体/診断

診断
  • 顕微鏡検査:卵の確認.
  • 朝の排便・洗浄の前に肛門周囲の皮膚に透明なセルローステープを押しつけ,それを顕微鏡スライド上で検査する.
  • 他の採取方法として,肛門スワブまたはSwube tube(粘着性物質でコートされたへら)も用いられる.
病原体
  • Enterobius vermicularis

第一選択

  • 成人
  • ピランテル(パモ酸塩)11mg/kg塩基(最高1gまで)経口1回,2週後に繰り返す(米国では市販薬)
  • 小児:
  • WHOは1歳以上の小児でのアルベンダゾールおよびメベンダゾールの使用を承認している.
  • CDCは,2歳以上の小児にのみにアルベンダゾール400mg経口1回としているが,WHOガイドラインを受け入れている.
  • ピランテル(パモ酸塩)は年齢の下限はない
  • 妊婦:
  • ぎょう中感染のために妊娠維持が難しくなる(すなわち,体重低下,不眠)場合は,アルベンダゾール治療を考慮してよい,ただし妊娠第3期までに中断しなければならない.
  • WHOは,妊娠第2,3期でのアルベンダゾール使用を承認している.FDA妊娠リスク区分はC.
  • 大規模システマティック解析では,妊娠第1期にアルベンダゾールを使用しても害はなかった(Int J Parasitol 49: 541, 2019).
  • ピランテル(パモ酸塩)は妊婦でも安全で有効性が高いが,鞭虫または鉤虫には無効.
  • アルベンダゾールまたはメベンダゾール治療中も授乳は中断すべきではない
  • 経口投与量のわずか2~10%が吸収されるだけである.

第二選択

  • なし

治療期間

  • 上記処方参照.

コメント

  • メベンダゾール500mg錠(Vermox)がFDAに承認されているが,米国内では販売されておらず,企業からの提供でのみ入手可.
  • ジェネリックアルベンダゾール(Albenza)はAmnealから販売されているが,薬価が非常に高く,一般の薬局からは入手しにくい.
  • メベンダゾール治療中でも授乳を中断する必要はない.アルベンダゾールについてはデータが少ない.
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2025/12/22