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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
百日咳/持続性咳嗽
(
2023/10/10 更新
)
百日咳/持続性咳嗽,持続性気管支炎
臨床状況
市中で流行中に,無熱だが持続的な咳が>14日続く. >14日咳が続く成人の10~20%は百日咳.
新生児と乳児で罹患率と死亡率がもっとも高い.
この重症度の咳嗽発作ではさまざまな合併症が起こりうる:失神,膀胱失禁,肋骨骨折,結膜下出血,さらには脳卒中.
3段階の病期がある:
カタル期(1~2週):この段階で診断できれば,治療により早い回復が可能
発作性咳嗽,第2期,2~4週続く.治療は病状にはほとんど効果がないが,鼻腔の菌根絶および病気のまん延防止に有効.
回復期,1~2週続く.周囲に感染させるおそれがある.治療の目標は保菌状態を根絶すること.
1歳以上では,咳が始まって3週以内なら治療を行う.
1歳未満の乳児または妊婦では,新生児への感染を防ぐため,咳が始まって6週以内なら治療を行う.
百日咳罹患後の免疫が生涯続くわけではない.標準な予防接種スケジュールに従うこと.
診断/病原体
診断
鼻咽頭分泌物のPCRまたは培養陽性.血清検査は主に疫学研究で用いられる.
病原体
B. pertussis
B. parapertussis
(まれ)
第一選択
AZM
乳児・生後<1カ月:10mg/kg/日・5日(推奨される薬剤)
乳児・生後1~5カ月:10mg/kg/日・5日
生後>6カ月の小児:10mg/kg・1日目,その後5mg/kg/日・2~5日目(最大500mg)
成人: 500mg・1日目,その後250mg・2~5日目
第二選択
CAM
乳児・生後<1カ月:推奨されない
乳児・生後1~5カ月:15mg/kg/日を2回に分割・7日
生後>6カ月の小児:15mg/kg/日を2回に分割(最大1g/日)・7日
成人:500mg1日2回・7日
ST
乳児・生後<1カ月:禁忌
乳児・生後1~5カ月:生後<2カ月までは禁忌.(S 40mg/T 8mg)/kg/日を2回に分割・7日
生後>6カ月の小児:(S 40mg/T 8mg)/kg/日を2回に分割・7日
成人:(S 1600mg/T 320mg)/日を2回に分割・14日
予防
ワクチン(TdaP)が推奨される
乳児を保護(cocoon)するため家族構成員に
妊婦:各妊娠の27~36週:
Clin Infect Dis 65: 1977, 2017
.
Immunize.orgのAsk the Experts
参照
コメント
AZMは,治療期間が短く,投与回数が少なく,副作用が少ないため推奨される.
注:生後1カ月以内の乳児では,AZMに関連した肥厚性幽門狭窄リスクがわずかにある.
STは,生後2カ月以降で,マクロライドに不耐またはマクロライド耐性株に感染した患者における代替選択肢.STを百日咳治療薬として評価した研究は限られている.
ワクチン接種(TdaP)が推奨される:
乳児を守る(Cocooning-繭で包む-とよばれる)ための家族に対するワクチン接種
妊婦では,妊娠ごとに在胎27~36週で:
Clin Infect Dis 65: 1977, 2017
;
Ask the Experts
参照
曝露後予防:
予防のための薬剤・用量は治療の場合と同じ.
家庭内での接触があった場合,重症化の高リスク例(妊婦,1歳未満の乳児,免疫不全者)で21日以内に接触があった場合,高リスク例への接触が予測される場合は予防投与が推奨される:百日咳の治療と予防に関する改訂CDCガイドライン参照(
Postexposure Antimicrobial Prophylaxis
).
簡潔な概説:
Pediatr Infect Dis J 31: 78, 2012
;
Chest 146: 205, 2014
.
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2023/10/10