日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

イソスポーラ症  (2024/01/23 更新)
Cystoisospora belli(旧名Isospora belli


臨床状況

  • 腸管上皮細胞への感染であり,免疫正常患者にも免疫不全患者にも起こる
  • HIV感染者に非常に多い.便検査で検出後,HIV感染の有無が不明の場合はHIV検査が必須である.
  • HIV患者は,重度の吸収不良のため静注による輸液と栄養を必要とすることがある.
  • 非血性で慢性のけいれん性下痢および吸収不全
  • 全身性の好酸球増加症を起こすことがある.

病原体/診断

病原体
  • Cystoisospora belli (以前の名称は Isospora belli)
診断
  • 通常の虫卵および寄生体の染色ではみることができず,糞便の抗酸菌染色,PCR(ほとんどのマルチプレックスPCRパネルに含まれている),紫外線蛍光顕微鏡による自家蛍光,十二指腸吸引,あるいは腸生検が必要である.胆管,リンパ節,脾臓,肝などへの腸管外感染が,HIV感染患者の死後検査で報告されている.

第一選択

  • 免疫正常患者
  • ST 2錠経口1日2回・7~10日
  • HIV陽性/AIDS患者
  • 1日用量を1日2回から4回に増加,および/または治療期間を3~4週に延長する必要があるかもしれない.
  • 重度の吸収不良がある場合は静注STを考慮する

第二選択

  • Pyrimethamine 50~75mg/日経口(2回に分割してもよい)7~10日+ホリナートカルシウム 10~25mg/日経口
  • CPFX 500mg経口1日2回・7日(第二選択のなかでもsecond-line,コメントを参照)
  • AIDS患者における長期維持治療(CD4>200が6カ月間続くまで):
  • ST 2錠経口 週3回または1日1回
  • 上記に不耐の場合:(Pyrimethamine 25mg/日経口+ホリナートカルシウム 5~10mg/日経口)
  • CPFX 500mg経口週3回

コメント

  • 吸収不良または現在は反応がある場合には,10日後にST静注
  • Nitazoxanideの使用を支持する臨床的エビデンスはほとんどない
  • CD4<200のHIV患者は,十分な抗レトロウイルス治療(ART)をしない限りどのような治療にも反応しないことがある.
ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2024 Life Science Publishing↑ page top
2024/01/22