日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

鉤虫  (2025/11/18 更新)
アメリカ鉤虫,ズビニ鉤虫


臨床状況

  • 貧血(慢性感染では重症)
  • 最初に幼虫が侵入した皮膚の部位で発疹,最初の移行期で好酸球浸潤.
  • 鉤虫の2種の卵は区別がつきにくいので,同定の必要はない.Trichostrongylus属の卵も同じようにみえる.

病原体

  • Necator americanus (アメリカ鉤虫)
  • Ancylostoma duodenale (ズビニ鉤虫)

第一選択

アルベンダゾール 400mg経口1日1回・3日・年齢≧6歳
  • 小児:
  • WHOは,1歳以上の小児でのアルベンダゾール使用を承認しており,CDCの情報にも安全であるとして取り入れられている
  • 年齢>2歳小児についてのCDC推奨:400mg経口1回だけ;1~2歳 200mg経口1回だけ
  • 1歳未満の小児にはアルベンダゾールを使わないこと
  • 妊婦/授乳
  • WHOは妊娠第2期,第3期でのアルベンダゾール1回のルーチンでの使用を認めている.FDA妊娠危険区分C.
  • 大規模システマティック解析では,妊娠第1期でのアルベンダゾール使用に害はなかった(Int J Parasitol 49: 541, 2019)
  • 鉤虫による貧血は妊婦の転帰に重大な悪影響を及ぼす:治療が重要であり,妊婦に対してはアルベンダゾールが他の薬剤よりも有効であろう.
  • アルベンダゾールが乳汁中に移行するかどうかは不明.授乳中女性でのアルベンダゾール使用は慎重に行わねばならない.WHOは授乳中の女性でのアルベンダゾール1回使用を認めている

第二選択

  • アルベンダゾール 400mg単回投与が公衆衛生プログラムで用いられている.複数日投与よりも効果が低い.
  • ピランテルは妊婦では安全だが,鞭虫や鉤虫に対して効果がない.

治療期間

  • 上記処方参照.

コメント

  • 回虫に対しては,アルベンダゾールがメベンダゾールよりはるかに優れている(JAMA 299: 1937, 2008).
  • T. trichiuraの重複感染リスクが高いため,医療資源の豊富な国では複数日投与が推奨されている.
  • アルベンダゾール/イベルメクチン併用で3日治療すると,しばしば同時感染する鞭虫,鉤虫,糞線虫の治癒率が上昇する(Lancet Infect Dis 25: 478, 2025
  • メベンダゾール500mg錠†(Vermox)はFDAに承認されているが,米国では販売されておらず,企業からの提供でのみ入手可.
  • ジェネリックアルベンダゾール(Albenza)はAmnealから販売されているが,薬価が非常に高く,一般の薬局からは入手しにくい.
  • Emodepsideは有望な実験薬であり,タンザニアで鉤虫に対して優れた効果を示した(N Engl J Med 388: 1863, 2023).
  • これまで試験で使用された用量では,アルベンダゾールよりも忍容性が低い.

(†:日本にない剤形)

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2025/11/17