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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
鉤虫
(
2025/11/18 更新
)
アメリカ鉤虫,ズビニ鉤虫
臨床状況
貧血(慢性感染では重症)
最初に幼虫が侵入した皮膚の部位で発疹,最初の移行期で好酸球浸潤.
鉤虫の2種の卵は区別がつきにくいので,同定の必要はない.
Trichostrongylus
属の卵も同じようにみえる.
妊娠:アルベンダゾールによる治療で新生児死亡率が低下(
PLoS Negl Trop Dis 15: e0009282, 2021
). コメント参照.
ヒト以外の鉤虫感染については,
皮膚幼虫移行症
を参照.
病原体
Necator americanus
(アメリカ鉤虫)
Ancylostoma duodenale
(ズビニ鉤虫)
第一選択
アルベンダゾール
400mg経口1日1回・3日・年齢≧6歳
小児:
WHOは,1歳以上の小児でのアルベンダゾール使用を承認しており,CDCの情報にも安全であるとして取り入れられている
年齢>2歳小児についてのCDC推奨:400mg経口1回だけ;1~2歳 200mg経口1回だけ
1歳未満の小児にはアルベンダゾールを使わないこと
妊婦/授乳
WHOは妊娠第2期,第3期でのアルベンダゾール1回のルーチンでの使用を認めている.FDA妊娠危険区分C.
大規模システマティック解析では,妊娠第1期でのアルベンダゾール使用に害はなかった(
Int J Parasitol 49: 541, 2019
)
鉤虫による貧血は妊婦の転帰に重大な悪影響を及ぼす:治療が重要であり,妊婦に対してはアルベンダゾールが他の薬剤よりも有効であろう.
アルベンダゾールが乳汁中に移行するかどうかは不明.授乳中女性でのアルベンダゾール使用は慎重に行わねばならない.WHOは授乳中の女性でのアルベンダゾール1回使用を認めている
第二選択
メベンダゾール
100mg経口1日2回・3日
500mg経口1回は公衆衛生プログラムで用いられている.6回投与処方より効果が低い(
PLoS Negl Trop Dis 16: e0010810, 2022
)
アルベンダゾール
400mg単回投与が公衆衛生プログラムで用いられている.複数日投与よりも効果が低い.
ピランテル
11mg/kg(最高1gまで)経口1日1回・3日
ピランテルは妊婦では安全だが,鞭虫や鉤虫に対して効果がない.
治療期間
上記処方参照.
コメント
回虫に対しては,アルベンダゾールがメベンダゾールよりはるかに優れている(
JAMA 299: 1937, 2008
).
T. trichiura
の重複感染リスクが高いため,医療資源の豊富な国では複数日投与が推奨されている.
アルベンダゾール/イベルメクチン併用で3日治療すると,しばしば同時感染する鞭虫,鉤虫,糞線虫の治癒率が上昇する(
Lancet Infect Dis 25: 478, 2025
)
公衆衛生プログラムで行われたアルベンダゾール(400mg)またはメベンダゾール1回投与による治療は治癒率が低く,アルベンダゾール3日はメベンダゾール3日より優れていた(
PLoS One 6: e25003, 2011
;
BMJ 358: j4307, 2017
:
EClinicalMedicine 1: 7, 2018
).
集団治療においては,成人に対しアルベンダゾール800mg1回投与を考慮する:
Clin Infect Dis 73: e494, 2021
.
メベンダゾール500mg錠†(Vermox)はFDAに承認されているが,米国では販売されておらず,企業からの提供でのみ入手可.
ジェネリック
アルベンダゾール(Albenza)はAmnealから販売されているが,薬価が非常に高く,一般の薬局からは入手しにくい.
好酸球増多がなくても卵が糞便中に排出される(
N Engl J Med 351: 799, 2004
).
Emodepsideは有望な実験薬であり,タンザニアで鉤虫に対して優れた効果を示した(
N Engl J Med 388: 1863, 2023
).
これまで試験で使用された用量では,アルベンダゾールよりも忍容性が低い.
(†:日本にない剤形)
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2025/11/17