日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

皮膚幼虫移行症  (2025/10/28 更新)
皮膚幼虫移行症,犬猫鉤虫


臨床状況/予防

臨床状況
  • イヌあるいはネコ鉤虫の幼虫の皮膚への侵入であり,非常に特徴的な痒みを伴う蛇行状の皮下の移行跡を引き起こす.
  • 非定型症状:毛包炎,水疱性の病変
  • 地面や汚染された表面に接触した場合,体のあらゆる部位に発生する可能性がある
  • また,鉤虫関連皮膚爬行疹(hookworm-related creeping eruption)とも呼ばれる(皮膚爬行疹の原因は他にもある).
  • 細菌の重複感染が起こる可能性があり,臨床的に適応となれば抗菌薬治療が必要となる.
  • 診断は臨床的に行う.利用できる血清学検査はない.
  • 時としてA. caninumの幼虫はヒト腸管に移行することがあり,好酸球性腸炎を引き起こす.また,幼虫はびまん性片側亜急性視神経網膜炎の原因となるとも考えられている.
予防
  • 熱帯および亜熱帯気候地域,特に浜辺での曝露の可能性が高い地域への旅行者は,皮膚(性器部分を含む)と砂または土との直接的接触を避けるために,足全体を覆う靴および保護のためのマットその他の覆いなどを着用することが推奨される.

病原体

  • Ancylostoma braziliense (ブラジル鉤虫)
  • Ancylostoma caninum (イヌ鉤虫)
  • Ancylostoma ceylanicum(セイロン鉤虫)
  • Uncinaria stenocephala(狭頭鉤虫)

第一選択

アルベンダゾール 400mg経口1日2回・3~7日
  • 小児:
  • WHOは,1歳以上の小児でのアルベンダゾール使用を承認しており,このことはCDCの情報にも取り入れられている.
  • 年齢≧2歳小児についてのCDC推奨:400mg/日経口・3日
  • 年齢<2歳の小児には使用しない
  • 妊婦:
  • WHOは,妊娠第2,3期でのアルベンダゾール使用を承認している.FDA妊娠リスク区分はCであり,妊婦に使用してはならない.
  • 大規模システマティック解析では,第1期にアルベンダゾールを使用しても害はなかった(Int J Parasitol 49: 541, 2019).
イベルメクチン 200μg/kg経口1回1日・1~2日(体重<15kgの小児には使用しない.)
  • 小児:
  • 体重>15kgの小児にはイベルメクチン200μg/kg経口1回を使用可能

第二選択

  • なし

治療期間

  • 上記処方参照.

コメント

  • 無効ならアルベンダゾールを繰り返すかイベルメクチンを試みる.複数回の治療が必要な場合もある.
  • 治療をしなくとも幼虫は約6週以内に死に症状は解消する.
  • 局所Thiabendazoleは有効だが入手困難.1日3回塗布・7日治療が必要.
  • 凍結療法はすでに行われておらず(皮膚科ではいまだに行われている),瘢痕を残す危険性がある.幼虫は皮膚上に見える移行跡の先端にいるが,場所を特定することは困難.
  • ジェネリックのアルベンダゾール(Albenza)はAmnealから販売されているが,薬価が非常に高く,一般の薬局からは入手しにくい.
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2025/10/28