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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
フィラリア症-体腔
(
2024/02/06 更新
)
体腔フィラリア症,マンソネラ症
臨床状況
Mansonella perstans
(ジペタロネマ症),体腔フィラリア症は,ほとんどの患者では無症候だが,血管浮腫,そう痒,発熱,頭痛などさまざまな症状を引き起こすことがある.
Mansonella streptocerca
は,ほとんどの患者では無症候だが,ハンセン病やオンコセルカ症と混同されるような慢性そう痒性低色素性病変を起こすことがある.
Mansonella ozzardi
は通常無症候だが,患者は関節痛,そう痒,リンパ節症を訴えることがある.また死んだ寄生虫に対するアレルギー反応が起こることがある.
注:ほとんどの治療処方は無効
すべて節足動物の媒介により感染する.
多くの臨床経験に関する総説:
Clin Infect Dis 74: 1972, 2022
.
診断/病原体
診断
診断:
M. perstans
および
M. ozzardi
ミクロフィラリアは血液フィルム染色でみられる.どちらの種も周期性を示さない.
M. streptocerca
ミクロフィラリアは皮膚小片でみられる.
フィラリアの血清学検査は陽性のことがあるが,ヒトに感染する8種のフィラリアを区別することはできない.
病原体
Mansonella perstans
(常在糸状虫)
Mansonella ozzardi
(オザード糸状虫)
Mansonella streptocerca
Mansonella "DEUX"
(ガボンでの臨床的意義は不明)
第一選択
Mansonella perstans
(常在糸状虫)
DOXY
200mg経口1日1回または100mg経口1日2回・6週
マリ,ガーナ,およびカメルーン以外では無効の可能性あり(細胞内共生
Wolbachia
).
ウガンダおよびガボンでは確実に無効であり,他のどの地域でも
Wolbachia
共生の研究はされていない.
他地域での無効例に対し
アルベンダゾール
200mg経口1日2回±
ジエチルカルバマジン
を試みてもよいが,抗寄生虫薬はどれもほとんど効果がない.
Mansonella ozzardi
(オザード糸状虫)
イベルメクチン
200μg/kg・1回.症状が持続するようなら繰り返す.データは限られる(
Am J Trop Med Hyg 90: 1170, 2014
;
Am J Trop Med Hyg 98: 786, 2018
).
体重<15kgの小児でのイベルメクチンの安全性を,ほとんどの国の専門機関は認めていない.
WHOは,身長90cm以上の小児(体重約15kgまたは年齢約2歳と同等)のイベルメクチンによる治療を認めている.
システマティックレビュー(対象1,000例)は<15kgでの安全性を強く示唆している(
PLoS Negl Trop Dis 15: e0009144, 2021
).
Mansonella ozzardi
にはwolbachia菌が存在するが,DOXYに関する臨床データはない.
Mansonella streptocerca
イベルメクチン
150μg/kg・1回投与によりミクロフィラリア血症が減少するが,そう痒感のような臨床症状には効果なし.
ジエチルカルバマジン
6mg/kg・12日でミクロフィラリアおよび成虫は殺虫されるが,臨床症状の一過性の増悪を引き起こし,
Onchocerca volvulus
との重複感染の場合には視力喪失,血圧低下をきたすことがある.
DOXYあるいは
Wolbachia
共生に関する臨床データはない.
第二選択
なし
コメント
常在糸状虫に対するDOXYの効果は細胞内共生
Wolbachia
を抑えることによる.イベルメクチンは活性なし.参考文献:
Am J Trop Med Hyg 101: 84, 2019
.DOXYランダム化試験:
N Engl J Med 361: 1448, 2009
.
一部の
M. pertans
株は
Wolbachia
を含んでいないため,DOXYに反応しない
M. perstans
に対し,反応は低いがメベンダゾール・21日+ジエチルカルバマジン・21日を用いてもよい.
抗寄生虫薬(イベルメクチン,アルベンダゾール,メベンダゾール)は常在糸状虫のミクロフィラリア血症を消失させない.
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2024/02/06