日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

フィラリア症-体腔  (2024/02/06 更新)
体腔フィラリア症,マンソネラ症


臨床状況

  • Mansonella perstans(ジペタロネマ症),体腔フィラリア症は,ほとんどの患者では無症候だが,血管浮腫,そう痒,発熱,頭痛などさまざまな症状を引き起こすことがある.
  • Mansonella streptocercaは,ほとんどの患者では無症候だが,ハンセン病やオンコセルカ症と混同されるような慢性そう痒性低色素性病変を起こすことがある.
  • Mansonella ozzardiは通常無症候だが,患者は関節痛,そう痒,リンパ節症を訴えることがある.また死んだ寄生虫に対するアレルギー反応が起こることがある.
  • 注:ほとんどの治療処方は無効
  • すべて節足動物の媒介により感染する.

診断/病原体

診断
  • 診断:M. perstansおよびM. ozzardiミクロフィラリアは血液フィルム染色でみられる.どちらの種も周期性を示さない.
  • M. streptocercaミクロフィラリアは皮膚小片でみられる.
  • フィラリアの血清学検査は陽性のことがあるが,ヒトに感染する8種のフィラリアを区別することはできない.
病原体
  • Mansonella perstans (常在糸状虫)
  • Mansonella ozzardi (オザード糸状虫)
  • Mansonella streptocerca
  • Mansonella "DEUX"(ガボンでの臨床的意義は不明)

第一選択

  • Mansonella perstans (常在糸状虫)
  • DOXY 200mg経口1日1回または100mg経口1日2回・6週
  • マリ,ガーナ,およびカメルーン以外では無効の可能性あり(細胞内共生Wolbachia).
  • ウガンダおよびガボンでは確実に無効であり,他のどの地域でもWolbachia共生の研究はされていない.
  • Mansonella ozzardi(オザード糸状虫)
  • 体重<15kgの小児でのイベルメクチンの安全性を,ほとんどの国の専門機関は認めていない.
  • WHOは,身長90cm以上の小児(体重約15kgまたは年齢約2歳と同等)のイベルメクチンによる治療を認めている.
  • Mansonella ozzardiにはwolbachia菌が存在するが,DOXYに関する臨床データはない.
  • Mansonella streptocerca
  • イベルメクチン 150μg/kg・1回投与によりミクロフィラリア血症が減少するが,そう痒感のような臨床症状には効果なし.
  • ジエチルカルバマジン 6mg/kg・12日でミクロフィラリアおよび成虫は殺虫されるが,臨床症状の一過性の増悪を引き起こし,Onchocerca volvulus との重複感染の場合には視力喪失,血圧低下をきたすことがある.
  • DOXYあるいはWolbachia共生に関する臨床データはない.

第二選択

  • なし

コメント

  • 一部のM. pertans株はWolbachiaを含んでいないため,DOXYに反応しないM. perstansに対し,反応は低いがメベンダゾール・21日+ジエチルカルバマジン・21日を用いてもよい.
  • 抗寄生虫薬(イベルメクチン,アルベンダゾール,メベンダゾール)は常在糸状虫のミクロフィラリア血症を消失させない.
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2024/02/06