日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

感染性心内膜炎-Q熱  (2025/07/01 更新)
Coxiella burnettii による心内膜炎,Q熱


臨床状況/診断

臨床状況
  • Coxiella burnetiiによる感染性心内膜炎,Q熱に対する特異的治療.
  • 亜急性/慢性心内膜炎の所見/症状:たとえば,発熱,寝汗,体重減少.弁膜疾患のエビデンス.
  • 69%に弁疾患のエビデンスがある.
  • 急性Coxiella burnetii感染の続発症.急性感染から心内膜炎が明らかになるまで長い潜伏期間がありうる.
  • 疣贅は小さく,心エコーで発見できるのは12%.他の画像診断(PETCT,心MRI)では感度が上昇することがある.
  • Coxiella は他の血管内部位に感染することもある:たとえば,血管グラフト,動脈瘤.
  • 動物の後産や排泄物の乾燥浮遊粒子を吸い込んだ曝露歴がある場合もない場合もある.宿主となりうる動物は多く,ヒツジ,ウシ,ヤギが代表的なもの.
  • 治療を受けても10年死亡率は19%.
  • 心内膜炎以外のQ熱の急性/慢性感染に関する情報は,Coxiella burnettiiを参照.
診断
  • 感染性心内膜炎の微生物学的診断(改訂されたDuke-ISCVD基準を参照).
  • 血液でのPCRあるいは他の核酸診断法で陽性,またはCoxiella burnetii I相IgG抗体価>1:800,または1回の血液培養から病原体が分離された.
  • 慢性Q熱の確定診断:
  • 血液または組織のC. burnettii PCR陽性.
  • I相抗原に対し,IgG抗体力価≧800
  • Dukeの感染性心内膜炎診断基準で陽性あるいは,画像診断(FDG-PET,CT,MRI,超音波)で大血管または人工物感染が確定診断された場合.
  • もっとも多く報告される症状:発熱,悪心,咳,筋肉痛

病原体

第一選択

  • DOXY 100mg静注†または経口1日2回+Hydroxychloroquine 600mg/日(すなわち200mg経口1日3回)・少なくとも18カ月.コメント参照

(†:日本にない剤形)

第二選択

コメント

  • 小児患者に対するテトラサイクリン系薬の使用について,8歳未満の小児では,薬剤とその着色分解物質がエナメル質に沈着することにより,歯の永久的な変色が起こることが報告されていたため,従来は制限されていた.DOXYは,他のテトラサイクリン系薬にくらべカルシウムへの結合力が弱く,最近の比較データからは,8歳未満の小児で目に見える歯の変色やエナメル質形成不全を引き起こす可能性は低いことが示唆されている.DOXYは短期間(≦21日)ならば,患者の年齢にかかわらず安全に投与できるAAP Red Book 2018J Pediatr 166: 1246, 2015).
  • 単剤治療では再燃率が高い(~50%).
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