Tafenoquine (2024/09/17 更新)
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Contents
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント
1. 用法および用量
1. 使用
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FDAは下記に対しTafenoquine succinateを承認
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18歳以上の患者でのマラリアの化学予防
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16歳以上で,急性の三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)感染に対するChloroquine治療中の患者における,P. vivaxマラリア根治治療(再発防止).Tafenoquineは肝細胞内のP. vivaxのヒプノゾイトに対して活性がある.
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CDCは,P. ovale根治のための適応外使用を勧めている.
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Tafenoquine投与前に患者のG6PD欠損について検査を行う.定量的検査により正常活性の>70%であることを確認する.
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妊婦での使用は,G6PD欠損胎児では溶血性貧血のリスクがあるため推奨されない.治療を開始する前に妊娠の有無を確認すること.
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乳児がG6PD欠損の場合(あるいは不明の場合)は,Tafenoquine投与後3カ月は授乳を避ける.
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Tafenoquineには2種類の用量の剤形がある
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100mg錠(Arakoda;60 Degrees Pharmaceutical,米国;オーストラリアではKodatef)
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150mg錠(Krintafel;GSK,米国;オーストラリアではKozenis)
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TafenoquineはFDAにより承認され,Arakoda(米国),Kodatef(オーストラリア),Krintafel(米国,オーストラリア)は現在市販されているが,不定期にしか入手できない.
2. 成人用量
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マラリア流行地域への旅行前(初期処方):200mg1日1回・3日(旅行3日前から開始)
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流行地域滞在中(維持処方):200mg週1回(初期投与の最終投与から7日後に開始)
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流行地域滞在後:200mg1回(維持処方の最終投与から7日後)
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Tafenoquineは6カ月まで継続投与が承認されている
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P. vivaxまたはP. ovaleの根治(16歳以上):300mgを,急性P. vivaxマラリアに対するChloroquine治療の1日目または2日目に1回併用投与する.
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TafenoquineはChloroquineとのみ併用する.以前のKrintafelの添付文書では他の抗マラリア薬(アルテメテル・ルメファントリン,アトバコン・プログアニル,Quinine+DOXY)と併用可とされていたが,改訂された.
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
副作用
妊娠時のリスク
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FDAリスク区分(新):推奨されない(胎児がG6PD欠損の場合溶血性貧血のリスクあり)
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授乳中の使用:乳児がG6PD欠損または不明の場合は,投与後3ヵ月は授乳を避ける
3. 抗微生物スペクトラム
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Plasmodium属(P. falciparum,P. vivaxなど)の生殖母細胞とともに,前赤血球期(肝臓期),赤血球期(有性型)に対して活性.
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Babesia microtiに対して有効だとするin vivo動物研究の説得的なデータがある:J Infect Dis 220: 442, 2019.
4. 薬理学
PK/PD指標
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データなし
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剤形
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錠剤(100mg,150mg)
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食事に関する推奨(経口薬)1
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錠:食事とともに
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経口吸収率(%)
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データなし
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Tmax(時間)
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12~15
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最高血清濃度2(μg/mL)
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0.15(200mg経口, SD)
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最高尿中濃度(μg/mL)
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データなし
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蛋白結合(%)
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>99.5
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分布容積3(Vd)
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1600~2500 L
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平均血清半減期4
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約15日(終末期)
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排泄
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代謝はゆっくり
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胆汁移行性5(%)
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データなし
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脳脊髄液/血液6(%)
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データなし
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治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
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データなし
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AUC8(μg・時間/mL)
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70(200mg経口,0~inf)
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注記のない場合は成人用経口製剤
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SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
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V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
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CrCl>80 mL/分と想定
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(胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
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炎症時における脳脊髄液濃度
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薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
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AUC:血中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
CYP450の基質
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トランスポーターの基質
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CYP450の阻害
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トランスポーターの阻害
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OCT,MATE1,MATE2K
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CYP450誘導
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トランスポーターの誘導
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血清中薬物濃度への影響
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↑
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血清中薬物濃度への影響は,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である.↑:上昇,↓:低下
6. 主要な薬物相互作用
薬剤
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濃度への影響
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推奨される対応
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Dofetilide
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Dofetilide↑
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モニター,用量調整
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メトホルミン
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メトホルミン↑
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モニター,用量調整
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7. コメント
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SARS-CoV-2およびバベシア症に関して実施されている試験の状況は不明.
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