Delafloxacin (2025/04/30 更新)
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Contents
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 薬理学
4. 主要な薬物相互作用
5. コメント
1. 用法および用量
1. 使用
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Delafloxacinはフルオロキノロン系薬である,以下の感染症の治療に対しFDAより承認された
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in vitroの抗菌活性スペクトラムは以下の菌を含む
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Streptococcus属およびStaphylococcus属.LVFX耐性株を含む
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DelafloxacinはMRSAに対する活性を有する最初のフルオロキノロン系薬である.MRSAはSSSIの適応には含まれるが,MRSAによるCABPは適応なし.
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一部のグラム陰性菌:たとえば,E. coli,K. pneumoniae,Enterobacter属
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ESBL存在下でも安定
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P. aeruginosaに対してはCPFXよりも活性が低い
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in vitroで,グラム陽性およびグラム陰性嫌気性菌のどちらにも活性がある:たとえば,Peptostreptococcus属,Bacteroides fragilis
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in vitroでLegionella pnaumophiliaおよびMycobacterium tuberculosisに活性がある
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急性皮膚・軟部組織感染症患者を対象とした2つのランダム化プロスペクティブ試験で,Delafloxacinは対照のVCM+AZTに対し非劣性を示した.
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臨床試験の詳細について,添付文書に示された内容は限られている.
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患者は化膿性感染(S. aureusによることが多い)と非化膿性感染(Streptococcus属によることが多い)を合併していたようである.
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注意すべきこととして,Delafloxacin群の患者6例が皮膚感染症とS. aureus菌血症(MRSAかどうかは不明)を合併しており,そのうち5例は治療に「反応」した.K. pneumoniaeによる菌血症,P. aeruginosaによる菌血症もあったが,どちらの患者もDelafloxacinによる治療が有効だった.
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Delafloxacin静注製剤は溶解補助のための添加剤としてSulfobytylether-β-cyclodextrin(SBECD)を含む.SBECDは腎のみで排泄されるため,中等症から重症の腎障害患者では蓄積することがある.この臨床的意義は不明.
2. 成人用量
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300mg静注12時間ごと1時間以上かけて注入(SSSIには5~14日,CABPには5~10日)
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450mg経口12時間ごと(SSSIには5~14日,CABPには5~10日)
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治療の途中で静注から経口へ切り替えてもよい
3. 小児用量
用量(生後>28日)
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安全性・有効性は確立されていない
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最大/日
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4. 腎障害時の用量調整
半減期(時間)(腎機能正常)
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4.2~8.5
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半減期(時間)(ESRD)
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データなし
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用量(腎機能正常)
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450mg経口12時間ごと 300mg静注12時間ごと
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CrClまたはeGFR
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経口: eGFR≧15:用量調整不要 eGFR <15:推奨されない(データなし) 静注: eGFR≧30:用量調整不要 eGFR 15~29:200mg静注12時間ごと eGFR<15:推奨されない(データなし)
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血液透析
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推奨されない(データなし)
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CAPD
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データなし
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CRRT
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データなし
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SLED
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データなし
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5. その他の用量調整
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軽症肝障害(Child-Pugh分類A):用量調整不要
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中等症肝障害(Child-Pugh分類B):用量調整不要
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重症肝障害(Child-Pugh分類C):用量調整不要
2. 副作用/妊娠時のリスク
副作用
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腱炎および腱断裂
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関節痛,筋肉痛,末梢神経障害
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中枢神経系:幻覚,不安,抑うつ,不眠,重度の頭痛,錯乱
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重症筋無力症患者では筋力低下
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過敏症
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C. difficile関連の下痢
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動脈瘤および解離のリスク
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血糖値不安定
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悪心(8%),下痢(8%),頭痛(3%),トランスアミナーゼ上昇(3%),嘔吐(2%)
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他のフルオロキノロン系薬と異なり,Delafloxacinは現在までのところQTc延長との関連は示されていない.
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C-8にハロゲン原子があるにもかかわらず,光線過敏性との関連は確認されていない.これはN-1の大きな極性基による緩和効果のためであろう(Photochem Photobiol Sci 17: 773, 2018).
妊娠時のリスク
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FDAリスク区分(新):胎児の腎臓,心臓,中枢神経系への毒性がありうるため妊婦での使用は避ける.他の選択肢がなく,有用性がリスクを上回る場合には考慮する.
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授乳中の使用:データなし,使用を避ける
3. 薬理学
PK/PD指標
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24時間AUC/MIC
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剤形
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450mg錠 注射剤
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食事に関する推奨(経口薬)1
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錠剤:食事の影響なし
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経口吸収率(%)
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59
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Tmax(時間)
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1
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最高血清濃度2(μg/mL)
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9.3(300mg静注12時間ごと,SS) 7.45(450mg経口12時間ごと,SS)
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最高尿中濃度(μg/mL)
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データなし
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蛋白結合(%)
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84
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分布容積3(Vd)
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30~48L(Vss)
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平均血清半減期4(T1/2, 時間)
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4.2~8.5
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排泄
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腎,一部は糞便
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胆汁移行性5(%)
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データなし
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脳脊髄液/血液6(%)
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データなし
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治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性7
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データなし
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AUC8(μg・時間/mL)
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23.4(300mg静注12時間ごと,0~12時間) 30.8(450mg経口12時間ごと,0~12時間)
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注記のない場合は成人用経口製剤
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SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
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V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
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CrCl>80 mL/分と想定
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(胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
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炎症時における脳脊髄液濃度
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薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
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AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x
4. 主要な薬物相互作用
薬剤
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濃度への影響
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推奨される対応
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アルミニウム,マグネシウムを含む制酸薬
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Delafloxacin↓(経口製剤のみ)
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制酸薬の2時間前または6時間後に経口Delafloxacinを投与
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ジダノシン(または多価陽イオンを含むすべての製剤)
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Delafloxacin↓(経口製剤のみ)
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ジダノシンの2時間前または6時間後に経口Delafloxacinを投与
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多価陽イオン(たとえばマグネシウム)を含む静注液
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Delafloxacin↓(静注製剤のみ)
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併用を避ける
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鉄含有製剤
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Delafloxacin↓(経口製剤のみ)
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鉄含有製剤の2時間前または6時間後に経口Delafloxacinを投与
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鉄または亜鉛を含むマルチビタミン
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Delafloxacin↓(経口製剤のみ)
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マルチビタミンの2時間前または6時間後に経口Delafloxacinを投与
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スクラルファート
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Delafloxacin↓(経口製剤のみ)
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スクラルファートの2時間前または6時間後に経口Delafloxacinを投与
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5. コメント
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