Antimony, pentavalent (2024/11/26 更新)
スチボグルコン酸ナトリウム(Pentostam),アンチモン酸メグルミン(Glucantime)
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Contents
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 薬理学
4. 主要な薬物相互作用
5. コメント
1. 用法および用量
1. 使用
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リーシュマニア治療のための5価アンチモン化合物.
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アンチモン酸メグルミン(Glucantime)は個別の治験薬としてFDAの承認を得ればSanofiから入手できる(抗寄生虫薬の供給元参照).
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GSKはStibogluconate sodium(Pentostam,GSK)を全世界で生産中止し,CDCからも入手はできない.
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発展途上国では,品質にばらつきのあるのジェネリック製品が多数供給されている.
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投与法
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静注には,適当な用量の薬剤を使用直前に50mLの5%ブドウ糖液または生食に希釈する(薬物用量が少なければ希釈液も少なくてよい).バタフライ弁またはヘパリンロックで最低10分かけて投与.
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時間がたつと微粒子状物質が形成される可能性があるため(複数回バイアル),製造会社は静注投与にはインラインフィルターの使用を推奨している.
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病変内アンチモン:アンチモン酸メグルミン(Glucantime)病変内に20mg/kgまで週1回・5~10週.希釈しない薬剤を使用.軽症には冷凍治療を併用し,治癒するまで5~8回施行.
2. 成人用量
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製品にかかわらず,用量は5価アンチモン(SbV)のmg/mL.
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Glucantime:1.5g/5mLの注射用溶液として入手できる.アンチモン0.4050g(/5mLアンプル)が含まれる.
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Meglumine antimoniate 75mgには20mgのアンチモンが入っている.
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推奨:アンチモン酸メグルミン(Glucantime)病変内に20mg/kgまで週1回・5~10週.希釈しない薬剤を使用.軽症には冷凍治療を併用し,治癒するまで5~8回施行.
3. 小児用量
用量(生後>28日)
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一部の幼児では,用量調整(mg/kg)が必要となる場合もある.専門家にコンサルト.
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最大/日
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4. 腎障害時の用量調整
半減期(時間)(腎機能正常)
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除去:2時間 終末相:1~3日
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半減期(時間)(ESRD)
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データなし
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用量(腎機能正常)
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20mg/kg/日
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CrClまたはeGFR
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用量調整が推奨される(または別の治療を選択する) 具体的な推奨はない
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血液透析
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データなし
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CAPD
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データなし
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CRRT
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データなし
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SLED
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データなし
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5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
副作用
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一般的な副作用:疲労/虚弱,倦怠感,頭痛,筋肉痛/関節痛,食欲不振/悪心,腹部不快感,可逆性の検査値異常(ALT,AST,アミラーゼ,リパーゼ値上昇;血球減少;T波変化).QTc延長のリスク.
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モニタリング:治療前および週1回の心電図,血清クレアチニン,肝機能検査,血清アミラーゼ,全血算.20日を超える治療が必要な場合は,治療の3週目からは週2回の心電図モニタリングを行う.週2回以上の心電図のモニタリングは,一部の患者(たとえば高齢者,心疾患,腎疾患,肝疾患がある場合)で必要となることもある.
妊娠時のリスク
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FDAリスク区分(新):データはないが,胎児毒性がある可能性が大きい.妊婦での使用は避ける
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授乳中の使用:乳汁中濃度は低く,副作用は予想されない(特に生後>2ヵ月の乳児).しかし,治療中に授乳を中止した場合には,授乳を再開できるのは最終投与の24~48時間後.
3. 薬理学
PK/PD指標
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データなし
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剤形
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注射剤
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食事に関する推奨(経口薬)1
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経口吸収率(%)
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Tmax(時間)
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筋注:0.5~2
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最高血清濃度2(μg/mL)
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38(20mg/kg静注24時間ごと, SS)
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最高尿中濃度(μg/mL)
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データなし
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蛋白結合(%)
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データなし
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分布容積3(Vd)
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約260(Vss)
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平均血清半減期4(T1/2, 時間)
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消失:2時間 終末相:1~3日
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排泄
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腎
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胆汁移行性5(%)
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データなし
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脳脊髄液/血液6(%)
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データなし
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治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性7
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データなし
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AUC8(μg・時間/mL)
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65.4(10mg/kg, SD,0~inf)
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注記のない場合は成人用製剤
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SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
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V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
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CrCl>80 mL/分と想定
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(胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
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炎症時における脳脊髄液濃度
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薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
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AUC:血中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x
4. 主要な薬物相互作用
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報告はないが,肝毒性やQT延長をもたらす薬剤(アルコールを含む)の併用は避けたほうがよい.
5. コメント
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