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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
腸管凝集性
E. coli
(
2024/06/04 更新
)
EAEC, EaggEC
臨床状況
腸管凝集性
E. coli
(EAECまたはEaggEC)は発展途上国での小児および成人,発展途上国への旅行者および先進国の小児における急性下痢の原因となる.乳児での持続性下痢の原因となることもある.
最近の研究によると,ミネソタ州では,すべての年齢の急性下痢患者からEAECが検出された(
Clin Infect Dis 69: 473, 2019
).
EAECはHIV感染患者の下痢と関連しており,長引くことが多い.
一般に水性下痢,腹痛,微熱がみられる.粘液便,血便もみられることがある.
診断/分類
診断
診断:HEp-2細胞への付着がゴールドスタンダードだが,一般的に利用できるわけではない.一部の市販の検査キットでは,aatA,aggRなどの病原性関連遺伝子をPCRで検出することにより診断が行われることがある.
分類
腸管凝集性
E. coli
第一選択
補液
CPFX
750mg1日1回・3日
CPFX
500mg1日2回・7日がAIDS患者のEAECに対して用いられた
リファキシミン
200mg経口1日3回・3日
第二選択
なし
抗微生物薬適正使用
自然治癒することが多いため,抗菌薬治療がつねに必要なわけではない.
免疫不全患者や疾患が長期化した患者では,おそらく治療が適応となる.
抗菌薬の有効性が示された小規模研究(
Clin Infect Dis 29: 335, 1999
),HIV感染者でのEAECに対する抗菌薬の有効性が示された研究もある(
J Infect Dis 178: 1369, 1998
).リファキシミンは症状持続期間を短縮するようだ(
Clin Gastroenterol Hepatol 2: 135, 2004
).
コメント
EAECは,発展途上国での小児および成人,発展途上国への旅行者および先進国の小児での下痢患者で多く検出されるが,無症状の人からも検出されることがある.
分子生物学的な検出は必ずしも有症状の感染とは関連しない.
一般的概説:
Clin Microbiol Rev 27: 614, 2014
;
Curr Opin Gastroenterol 25: 8, 2009
;
Lancet Infect Dis 1: 304, 2001
.
持続性下痢,EAECについての総説:
JAMA 315: 2712, 2016
.
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2024/06/04