日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

破傷風-曝露後予防  (2025/08/05 更新)
破傷風予防,創傷分類,免疫法


臨床状況

  • 破傷風曝露後予防
  • 創傷の分類を決定する.
  • 創傷分類によりワクチン接種の推奨が導かれる.

創傷分類

臨床的特徴
破傷風の危険大
破傷風の危険小
受傷後の時間
>6時間
≦6時間
傷の形
放射状,剥離
直線
傷の深さ
>1cm
≦1cm
受傷のメカニズム
発射物,圧挫,熱傷,凍傷
鋭利な表面(ガラス,ナイフ)
失活組織
あり
なし
汚染(汚物,唾液など)
あり
なし

破傷風ワクチン接種歴

ワクチン接種の詳細は,破傷風,ジフテリア,百日咳,ワクチンを参照.
推奨は患者の破傷風ワクチン接種歴による.
  • 不明,あるいは接種歴が3回未満
  • 汚染された,破傷風の危険性が大きい受傷:
  • 破傷風/ジフテリア(Td)沈降トキソイド(成人用)
  • 破傷風免疫グロブリン(TIG)(ヒト)
  • 汚染されていない,破傷風の危険性が小さい受傷:
  • Td沈降トキソイド(成人用)を投与し,TIGは使用しない
  • 3回以上の接種歴
  • 汚染された,破傷風の危険性が大きい受傷:
  • 最後の追加免疫から5年以上経過している場合のみTdを投与,TIGは使用しない
  • 汚染されていない,破傷風の危険性が小さい受傷:
  • 最後の追加免疫から10年以上経過している場合のみTdを投与,TIGは使用しない

コメント

  • 年齢7歳未満の小児では,三種混合ワクチン(DPT)(百日咳ワクチンが禁忌ならばDT)をTdの代わりに接種する.
  • 7歳以上なら,破傷風トキソイド単独よりTdの方が好ましい.
  • 10歳以上なら,Tdの代わりにTdap(破傷風・ジフテリア・百日咳混合)を用いてもよい(MMWR 64: 243, 2015).
  • 65歳以上では破傷風の発症率が高く死亡率も高い(MMWR 64: 243, 2015).
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2025/08/04