日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

帯状疱疹,ワクチン  (2026/04/28 更新)
VZV,帯状疱疹ウイルス,帯状疱疹,Shingrix


ワクチン接種の適応

はじめに
  • Shingrix(組み替え帯状疱疹ワクチン:RZV)は,現在米国で唯一入手可能なワクチン
  • 米国外では,生ウイルスワクチン(ZVL)が入手できる国もある
  • CDCは,特にワクチン供給者に対し,RZVに対するグレード3の反応など,想定される反応について患者に伝えるよう呼びかけている:第1回接種後の反応から第2回接種後の反応を予測することはできない.
  • Shingrixが初期水痘(水ぼうそう)感染の予防となるという決定的なエビデンスはないが,研究は進行中である.
ワクチン接種の適応
  • ルーチン
  • 適応:
  • 免疫機能正常で≧50歳(全例)
  • HIV成人患者全例(CD4数にかかわらず),ただしCD4>200となりウイルス学的に抑制されるまでは延期
  • ≧18歳で,免疫抑制状態にあるか,あるいは将来的に免疫抑制となって帯状疱疹および関連疾患のリスクが高まる可能性のある人
  • 以前にZostavax(帯状疱疹ワクチン,生)接種を受けた人は,Shingrix 2回連続の再接種を受けなければならない.
  • 帯状疱疹の既往,水痘感染の既往あるいは過去の水痘ワクチン接種歴があっても,帯状疱疹ワクチンの適応となる.
  • 年齢50歳未満で免疫機能正常な人の帯状疱疹は帯状疱疹ワクチンの適応ではない.
  • 年齢≧50歳の健常者ではVZV力価を行わず,既往がどうあろうともShigrix接種を行う.
  • しかし,水痘感受性の血清学的エビデンスが得られれば,まず水痘ワクチン接種のガイドラインに従う.
  • RZVは水痘予防に適応はなく,水痘の既往あるいは水痘ワクチン接種歴のない人でのRZV使用については限られたデータしかない.
  • 帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療には適応とならない.
  • 海外渡航
  • ルーチンの推奨事項による.渡航によるリスク増大はない.
用量とスケジュール
商品名(製造元)
Shingrix(グラクソ・スミスクライン)
ワクチン(タイプ,CDC略語)
帯状疱疹ワクチン,組み替え,アジュバント含有(RZV)
年齢
≧50歳:免疫機能正常
≧18歳:HIVおよび免疫不全
用量と経路
0.5mL 筋注
初回接種スケジュール-標準コース
0,2~6ヵ月.免疫不全者のため:0,1~2ヵ月
初回接種スケジュール-短縮コース
0,4週
第1回追加接種
なし

有効性,予防効果持続期間/選択,互換性

有効性,予防期間
  • 帯状疱疹に対するワクチン効果(VE)は免疫機能正常者(50~69歳)で97%,≧70歳なら91%.
  • ワクチン接種を受けたが帯状疱疹を発症した場合,≧50歳の患者では,RZVはPHNを90%抑制した.
  • 0および2ヵ月スケジュールと0および6ヵ月スケジュールでは,抗体濃度の結果は同等だった.
  • 免疫不全:自己肝細胞移植患者でのVEは68.2%,血液悪性疾患患者および免疫媒介性疾患の可能性がある患者でのpost hoc解析では87.2~90.5%.
  • RVZ接種者(確実に3型)だった腎移植患者では移植片対宿主病のリスク増大はなかった.
  • 帯状疱疹に対するVEは,いずれも56.1%で,免疫不全者で差は認められなかった.
  • RZV2回目接種でのVEは1回接種よりも67.9%増加した.
  • 過去10年にZVL接種があった場合には有用であった
選択,互換性
  • 米国で使用できるのはShingrixのみ.
  • ShingrixとZostavaxの両方が使用できる場合,Zostavaxの方が劣っているのは明らかで,免疫不全患者には使用できない.
  • 不注意にShingrix接種を行った場合は,水痘ワクチンの接種とみなしてはならない.

毒性

禁忌
  • RZVの成分のいずれかに対する重症アレルギー反応(アナフィラキシーなど)の既往のある人にRZVを接種してはならない
  • 現在活動性の帯状疱疹感染に罹患している場合
警告
(定義:一般にワクチン接種は延期すべきだが,副反応のリスクよりもワクチンによる予防の有用性が上回る場合には適応となることがある.)
  • 中等症または重症急性患者(発熱の有無にかかわらず)
  • 帯状疱疹発症時には,ワクチン接種は急性期以後まで延期する.多くの専門家は1年待つことを推奨している.
  • 警告:市販後調査データでは,ワクチン接種後42日以内のギラン・バレー症候群リスクの増大を示している.
副作用
  • CDCは,患者に予測されるグレード3全身性反応を含む反応源性について警告しておくことを,とくにワクチン供給者に提言している.
  • 副作用の治療には解熱薬を用いるが,予防にはならない.
  • 筋肉痛,疲労,悪寒戦慄,発熱,胃腸症状.
  • 50歳以上の被験者で報告された自発的な一般副作用は,筋肉痛(45%),疲労(45%),頭痛(38%),悪寒(27%),発熱(21%),胃腸症状(17%)であった.
  • グレード3(すなわち,重症または医学的に重要だが,ただちに生命を脅かすものではない副作用)は2回目の接種後に多く報告されている.
  • すべてのグレード3副作用:ワクチン接種者16.5%対プラセボ3.1%
  • グレード3の注射部位反応(疼痛,発赤,腫脹):ワクチン接種者9.4%対プラセボ0.3%
  • グレード3の自発的な全身性事象(筋肉痛,疲労,頭痛,悪寒,発熱,胃腸症状):ワクチン接種者10.8%対プラセボ2.4%
  • 症状は,通常ワクチン接種後2~3日で消失する.
  • RZVによる重症副作用(たとえば,死,致死性疾患,恒久的障害)はプラセボと差がなかった.
  • 免疫不全者での副作用率は,≧50歳の免疫機能正常者と比較して同等かわずかに高かった(疲労,発熱,胃腸症状に関して).
  • 一部の専門家は,さらなる安全性データが出てくるまでは,ギラン・バレー症候群(GBS)の病歴がある患者にRZV接種をすべきでないとしている.
薬物相互作用
  • RZVは,既に水痘ワクチン接種を受けた人に接種してもよい.
  • RZVは生ワクチンではないので,抗ウイルス薬を併用してもよい.
  • COVID-19に対して承認された抗ウイルス薬(すなわち,レムデシビル,ニルマトレルビル+リトナビル,モルヌピラビル)による治療中のRZV接種については特異的なデータがない:接種すべきでないとする理論的な根拠はない.
  • COVID-19ワクチンとの併用は可能.
  • RZVと,Fluad(インフルエンザワクチン),4価Fluarix(インフルエンザワクチン),23価肺炎球菌多糖ワクチン(PPSV23,Pneumovax23),破傷風トキソイド,弱毒化ジフテリアトキソイド,無細胞百日咳ワクチン(Tdap, Boostrix),13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)との併用が研究されてきたが,どのワクチンの免疫反応への干渉または安全性の懸念についてもエビデンスはない.

特に注意が必要な対象

妊婦,授乳
  • データなし.RZVを出産後まで延期することを考慮する
  • 動物研究で安全性シグナルなし
  • 授乳中の母親またはその乳児に対するリスクは不明
免疫不全/HIV
  • HIV(CD4数にかかわらず),ただしCD4>200となりウイルス学的に抑制されるまでは延期
  • ウイルス学的抑制や高CD4細胞数(>200)の基準をみたさない場合には,帯状疱疹ワクチン接種を大幅に延期すべきでない;進行したHIV患者ではワクチン接種を行う
  • 予防的な抗ウイルス薬(アシクロビル,バラシクロビル,ファムシクロビル)投与を受けた患者(たとえば,肝細胞移植レシピエント)は,理想的には抗ウイルス治療を中止する2ヵ月前にRZV接種を受けるべきである.
  • ≦50歳の免疫不全者は,RZV接種を受けるためには,以下の基準の1つを満たしていなければならない.
  • 年齢に応じた水痘ワクチン2回接種の記録がある
  • 疾患の免疫性の臨床検査上のエビデンスがある,または水痘の血清学の臨床検査で確認されている.
  • 医療従事者により水痘または帯状疱疹と診断された,または血清学的に確認された.
  • 水痘の免疫性/感染の基準(上記)を満たさない成人の免疫不全者は,さらなるガイダンス(曝露後予防を含む)として水痘ワクチンを参照.
  • 免疫機能不全者では,初期水痘感染予防が優先する.
  • 予備的なエビデンスだが,RZVは初期水痘に対する体液性および細胞性反応を引き起こし,免疫不全者を水痘感染から保護する可能性がある.
  • 免疫抑制が起こる前にワクチン接種をする.
  • 薬物または治療による免疫抑制が起こった場合は,免疫抑制が軽度のうちに帯状疱疹ワクチン接種を行う.
  • 現在免疫抑制がある場合:免疫反応が一番堅固となる時期(たとえば,リツキシマブ次回投与の4週前)にワクチン接種を行う.
  • 自己血液幹細胞移植:移植後3~12ヵ月待つ
  • 同種血液幹細胞移植:移植後6~12ヵ月待つ
  • どちらの場合でも,予防的抗ウイルス薬(アシクロビル,ファムシクロビル,バラシクロビル)中止の2ヵ月前が望ましい.
  • 補体欠損(ラブリズマブおよび/またはエクリズマブ)はRZVの適応ではない.

血清検査

  • 年齢50歳以上の人では,ワクチン接種前にVZV感染を証拠立てるための水痘力価検査は行うべきでなく,水痘の病歴を聞く必要もない.
  • 1980年以前に生まれた米国人は>99%が水痘にかかったことがあることが,感度の高い研究検査を行えば明らかになる.
  • 臨床診療で使用されている検査は,比較的感度が低く,擬陰性が多く出る.
  • 年齢50歳以上の人に対し,力価検査で不注意に結果を引き出した,または陰性だったという理由で,間違って水痘ワクチンを接種した場合には,安全性については特別問題がないが,水痘に対する正規の接種と考えるべきではない.
  • Shingrix接種は水痘ワクチンの最終接種後≧8週で行うべきであり,Shingrix第2回接種は,その2~6ヵ月後に行うべきである.
  • 水痘ワクチンに含まれているVZV抗体は,帯状疱疹に対する予防効果を得るには不十分である.
  • 免疫不全者に対する適応は上記による.
  • 免疫複合体との関連があるため,スクリーン検査をうけて免疫がないことが明らかになった医療従事者は,≧50歳でも帯状疱疹ワクチンではなく,水痘ワクチン接種を受けなければならない.

コメント

  • 帯状疱疹ワクチンは(RZV),いまだ水痘予防には適応とならず,水痘ワクチンは帯状疱疹予防には適応とならない.
  • CDC ACIPの推奨は,実際にワクチン接種を行う医療従事者がアクセスすることの多いFDA添付文書と比べて,より広い(適応外使用)こともより狭いこともある.
  • 情報源
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2026/04/28