日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

水痘,ワクチン  (2026/02/10 更新)
水痘,VZV,水痘帯状ヘルペス


ワクチンの適応

ルーチン
  • 生後12ヵ月の全例:免疫がない限りワクチン接種すること.
  • HIV陽性で,CD4>200の場合のみ.
  • 健康で,免疫のない医療従事者(HCW),生年にかかわらず
  • 免疫のない,出産後の妊婦
  • 以下の免疫のない者には配慮すること
  • 重症化リスクの高い人と密接に接触している
  • 教師,保育士,矯正施設などの入居者および職員
  • 大学生または軍人
  • 子供や非妊娠女性と同居している者
海外渡航
  • 生後12ヵ月の全例:免疫がない限りワクチン接種すること.

用量とスケジュール
商品名(製造元)
Varivax(メルク)
ワクチン(タイプ,CDC略語)
水痘ウイルスワクチン,弱毒化生ワクチン(VAR)
年齢
≧生後12ヵ月
用量,経路
0.5mL 筋注または皮下注
初回接種スケジュールールーチン(1~6歳)
生後12~15ヵ月,および4~6歳1,2
初回接種スケジュール(7~12歳)
0,3ヵ月;不注意で≧4週間で接種した場合も正規として計算する
初回接種スケジュール(≧13歳)
0,4~8週(第2回接種:HIV陽性の場合,>3ヵ月あけて)
初回強化スケジュール(≧12歳)
0,4~8週
第1回追加接種
全年齢でなし
  1. キャッチアップ:<4歳で可能な限り早く1回接種:4~6歳では0,3ヵ月で2回接種
  2. 小児の第1回接種は生後12~47ヵ月で,MMRおよび水痘ワクチンを別々に摂取.≧4歳の小児では第2回はMMRV(Proquad,メルク)に代えてもよい.

曝露後予防
  • ワクチン接種による非免疫者の暴露後予防は,以下の場合に推奨される
  • 免疫がない曝露された個人,または流行の抑制
  • ■接種歴が不明な場合は,水痘IgG力価をチェックしてもよい
  • ■死亡リスクは>20歳で高い:積極的アプローチ
  • 生後12ヵ月以上で免疫がなく曝露を受けた場合:ただちにワクチン接種,理想的には曝露後3~5日以内に.
  • たとえ曝露が>5日以前だとしても,ワクチン接種は推奨される
  • 生後<12ヵ月ならワクチン接種をせず,経過観察し,発症した場合は抗ウイルス薬での治療を行う.
  • 水痘帯状疱疹免疫グロブリン(VZIG)による曝露後予防:VariZIC(Kamada Pharmaceuticals)(125単位/10kg[22Ibs]体重筋注・最大625単位[5バイアル]).体重≦2.0kgの患者では最小容量62.5単位(0.5バイアル),体重2.1~10kgの患者では125単位(1バイアル).
  • 免疫がなく水痘ワクチンが禁忌な場合は,曝露後10日以内(妊婦では4日)のVZIG投与が推奨される.
  • 免疫不全者(HIVを含む)
  • 分娩の5日前から2日後までに母親が水痘の徴候を示した新生児
  • 水痘に曝露された生後≧28週の未熟児(入院)で,母親に免疫のエビデンスがない場合
  • 妊娠<28週で生まれた水痘に曝露された入院中の未熟児(または出生時の体重≦1,000gの者),母親の免疫性の有無にはかかわらず
  • 妊婦
  • 28日経過観察して,水痘がまだ悪化するようなら,ただちに(発疹の<24時間)アシクロビルによる治療を開始する.高リスク患者では,推測によってアシクロビルによる治療を行うこともある.
  • 患者がワクチン接種の適応であるなら,VZIG投与後少なくとも5ヵ月は待期すること.
  • VZIGの≧3週以降に水痘帯状疱疹ウイルス曝露が起こった場合には,再投与してもよい.
  • 直近3週にIGIV高用量を投与されていれば,VZIGは必要ない.
  • 健康な医療従事者で,免疫があることが確実な場合は,曝露後予防や仕事の制限は必要ない.
  • 免疫があることの確証がない場合,最後の曝露から8~21日間は患者ケアエリアへの立ち入りを禁止し,ワクチン接種を受ける(ワクチン禁忌の場合はVZIG).
  • MMRVワクチンによる曝露後接種についてのデータはない.

有効性,予防効果持続期間/
選択・互換性

有効性と予防効果持続期間
  • 1回の摂取で85%の有効性を示し,4~6年目から低下する.
  • 2回接種後は感染に対して95%の有効性,重症化に対してはほぼ100%の有効性
  • 予防効果持続期間は不明,小児での予防効果は10年間持続
選択・互換性
  • 米国では1製品のみ,他国では複数の製品(Varilrix,Okavax)があり,直接比較研究はない.
  • 水痘に対する免疫が確認されないまま不注意にRZV(Shingrix,グラクソ・スミスクライン)接種が行われた場合は,水痘ワクチン2回接種の第1回とはみなさない.

毒性

禁忌
  • 過去の接種での,またはワクチン構成成分に対するアナフィラキシー反応
  • 重度の免疫不全
  • 臨床的または臨床検査で免疫機能正常と確認されず,免疫機能低下の家族歴がある
  • 未治療の活動性結核
警告
  • 中等症または重症急性疾患(発熱の有無にかかわらず)
  • 最近(11ヵ月以内)に抗体含有血液製剤の投与を受けた者(個々の製品により空けるべき間隔が異なる)
  • ワクチン接種前24時間以内に,特異的な抗ウイルス薬の投与を受けた者(アシクロビル,ファムシクロビル,バラシクロビル)
  • さらにこれらの抗ウイルス薬は,ワクチン接種後も14日は使用を避ける
  • ワクチン接種後6週間以内のアスピリンおよびアスピリン含有薬の使用
  • ワクチン関連発疹のあるワクチン被接種者(特に医療従事者,免疫不全者の家庭内接触者)は,全病変が消失するまで,あるいは新たな病変が出現して24時間経過するまでは,高リスクで感受性のある人との接触を避ける.
  • 先天性または遺伝性免疫不全の家族歴がある場合は,投与前に個人の免疫能を評価.
副作用
  • 多くみられるのは軽度の発熱,過敏症,注射部位反応
  • 2週間以内に,注射部位周辺に限局性の水痘様発疹
  • 3週間以内に全身性痘疱が出ることがある
薬物相互作用
  • 同日接種ではない場合,生ウイルスワクチンは少なくとも4週間の間隔をあけて接種すること
  • 水痘ワクチンは,いかなる血液製剤とも同時投与してはならない
  • アシクロビル,ファムシクロビル,バラシクロビルはワクチン接種の24時間以上前に中止し,14日間は再開してはならない
  • 水痘またはMMRVワクチンは,いかなる血液製剤(たとえば,全血,濃厚赤血球,血漿)または抗体含有製剤とも同時に投与してはならない
  • 定期的なIVIG治療または何らかの抗体を含む製剤の投与を行っている場合,MMR,水痘,MMRVワクチンは,最初の/または次回のIVIG/Igの14日前に接種する.
  • 抗体含有製剤投与後,MMR,水痘,MMRVワクチン接種を待期する期間は,投与されたIGの量次第であり,通常の筋注用量では6ヵ月,通常の静注用量の適応では8ヵ月である.
  • VARワクチンは,PPDツベルクリン皮膚感受性の一時的な低下を引き起こす可能性がある.

特に注意が必要な対象

妊婦,授乳
  • 妊娠中は禁忌
  • (1)水痘ワクチン2回接種完了の記録,または(2)水痘あるいは帯状疱疹の医療従事者による診断または確認がない場合には,妊娠検査を行う.免疫のない場合には,出産後に2回ワクチン接種コースを開始しなければならない.
  • 生年にかかわらず,妊娠中に免疫性のエビデンスがない(下記参照)場合には,出産後に退院する前にワクチン接種し,先行ワクチン接種がなければ,4~8週後に追加接種する.
  • ワクチン接種後3ヵ月は妊娠を避けること
  • 妊娠可能な女性には,ワクチン接種前のルーチンの妊娠検査は推奨されない
  • 不用意な接種は,妊娠中絶の理由とはみなされない
  • ワクチン接種は授乳の禁忌ではない
免疫不全/HIV
  • 重症免疫不全,コントロールされていないHIV,CD4<200のHIV患者(小児ではリンパ球<15%)では禁忌
  • CD4>200のHIV感染者には全年齢でルーチン接種(接種の表を参照)
  • 造血幹細胞移植患者では,移植後24ヵ月以上で,移植片対宿主病がなく,患者の免疫機能が正常と考えられる場合にはMMRワクチンの再接種をしてもよい.

血清学検査

  • 水痘ワクチンを2回接種したことが適切に記録されている場合は,ルーチンの血清学的検査は推奨されない
  • 初期の生帯状疱疹ワクチン(Zostavax)の1回接種が以前にあることは,水痘に対する免疫の証明にはならない.
  • Shingrixの1回または2回の接種歴は,水痘免疫に関しては接種回数として数えない:Shingrixによる水痘免疫導入についての臨床データは存在しない.
  • 通常の商業的なEIAは,水痘・帯状疱疹ウイルス感染で生じた抗体を検出するに十分な感度があるが,ワクチン誘導の抗体を検出できるに十分な感度はないため,ワクチン接種後の検査は推奨されない.
  • 曝露を受けて曝露後予防のワクチン接種が必要な人で,ワクチン接種歴が不昧な場合には水痘IgG力価をチェックしてもよい.
  • 医療従事者は全員,水痘に対する免疫があることを確認すべきである.血清学的検査が正当化される場合がある.
  • 1980年以前に生まれた女性であっても,水痘に対する免疫のエビデンスを得るために出生前評価を行う
  • 免疫のエビデンスがない場合は,出生前力価を測定し,陰性であれば,出産後(退院前または妊娠終了後)にワクチン初回接種を指示すること

コメント

免疫のエビデンス
  • 米国で1980年以前に出生した者
  •  ただし妊婦,医療従事者,免疫不全者は除く
  • 米国で1980年以降に生まれた者,妊婦,医療従事者,または免疫不全者については,以下のいずれかが必要
  • 年齢相に応じたワクチン接種を受けたことを証明するもの
  • ■生後12ヵ月の就学前児童.1回接種
  • ■学齢期の児童,青年,成人:少なくとも4週間の間隔をあけて2回接種
  • 医療従事者による水痘または帯状疱疹の診断または既往歴の確認
  • 臨床検査での免疫のエビデンスまたは疾患発病時の臨床検査結果の確認
  • CDC ACIPの推奨は,実際にワクチン接種を行う医療従事者がアクセスすることの多いFDA添付文書と比べて,より広い(適応外使用)こともより狭いこともある.
  • 情報源
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2026/02/09