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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
発疹チフス-シラミが媒介
(
2025/10/14 更新
)
臨床状況
シラミが媒介するリケッチア疾患で,以下の3つの状況でみられる:
戦争や人混みでの不衛生な状況
最初の感染から数年後の再発:Brill-Zinsser病(下記コメント参照)
森林サイクルは,ムササビやそれに付く感染したダニやノミを含む.
ムササビからの感染後にBrill-Zinsser病が起こりうる:
Clin Infect Dis 51: 712, 2010
臨床症状:
感染したコロモジラミ(
Pediculosis humanus
)やアタマジラミ(
Pediculosis capitis
)を保有する患者で,突然の発熱,頭痛,倦怠感.
64%の患者で発疹を認める:体幹部から始まり,遠心的に四肢へと広がる.
一般的文献:
Lancet Infect Dis 8: 417, 2008
.
病原体/診断
病原体
Rickettsia prowazekii
診断
血清学的診断については,
Emerg Infect Dis 15: 972, 2009
.州の公衆衛生局かCDCにコンタクトすること.
可能ならPCR.
第一選択
DOXY
100mg経口または静注†1日2回・5日.ある研究では200mg1回が95%の患者で有効だった(コメント参照).
上記に加えて,患者の衣服からシラミを除去する.
(†:日本にない剤形)
第二選択
CP
500mg経口または静注1日4回・5日
上記に加えて,患者の衣服からシラミを除去する.
コメント
小児:DOXYは短期間(≦21日)ならば,患者の年齢にかかわらず安全に投与できる(
AAP Red Book 2018
;
J Pediatr 166: 1246, 2015
).
再発性のシラミ媒介チフスはBrill-Zinsser病とよばれる.最初の感染から10~50年後に起こることがある.
Can Med Assoc J 73: 560, 1955
(第二次大戦中に罹患したシラミ媒介チフスの再発)参照.
ムササビ(
Emerg Infect Dis 9: 1341, 2003
),ホームレス(
Medicine 84: 61, 2005
),避難者(
Lancet 352: 353, 1998
)で流行.
【日本の情報】全数報告対象(4類感染症)であり,診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない.厚生労働省「
感染症法に基づく医師の届出について
」参照
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2025/10/14