日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

発疹チフス-シラミが媒介  (2025/10/14 更新)


臨床状況

  • シラミが媒介するリケッチア疾患で,以下の3つの状況でみられる:
  • 戦争や人混みでの不衛生な状況
  • 最初の感染から数年後の再発:Brill-Zinsser病(下記コメント参照)
  • 森林サイクルは,ムササビやそれに付く感染したダニやノミを含む.
  • 臨床症状:
  • 感染したコロモジラミ(Pediculosis humanus)やアタマジラミ(Pediculosis capitis)を保有する患者で,突然の発熱,頭痛,倦怠感.
  • 64%の患者で発疹を認める:体幹部から始まり,遠心的に四肢へと広がる.

病原体/診断

病原体
  • Rickettsia prowazekii
診断
  • 可能ならPCR.

第一選択

  • DOXY 100mg経口または静注†1日2回・5日.ある研究では200mg1回が95%の患者で有効だった(コメント参照).
  • 上記に加えて,患者の衣服からシラミを除去する.

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • CP 500mg経口または静注1日4回・5日
  • 上記に加えて,患者の衣服からシラミを除去する.

コメント

  • 再発性のシラミ媒介チフスはBrill-Zinsser病とよばれる.最初の感染から10~50年後に起こることがある.Can Med Assoc J 73: 560, 1955(第二次大戦中に罹患したシラミ媒介チフスの再発)参照.
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2025/10/14