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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
M. tuberculosis
の曝露-初回のTST陰性
(
2022/01/18 更新
)
M. tuberculosis
に曝露し,TST陰性の場合の治療
臨床状況
M. tuberculosis
感染例の家族または濃厚接触者に対する曝露後の管理.
初回の結核皮膚検査(TST)またはインターフェロンγ応答測定法(IGRA)が陰性(この場合,TST≧5mmは陽性とみなす).
治療は新生児では不可欠,<5歳の小児には,TSTが陰性でも治療の適応がある(年齢<5歳の小児にはTSTが望ましい).
≧5歳の小児~成人では,(初回のTST≧5mmでない限り)治療はしない.ただし,進行リスクの高い場合(たとえば,HIV,免疫不全者)は例外.
病原体
Mycobacterium tuberculosis
第一選択
新生児:
INH
10mg/kg/日・8~10週
8~10週後にTSTを繰り返す.
TST陰性かつ胸部X線所見が正常で,曝露時>6カ月なら,
INH
中止
TST陽性もしくは月齢<6カ月なら,
INH
治療を合計9カ月行う.
フォローアップ時に胸部X線所見に異常が認められたら,活動性結核として治療する.
<5歳の小児:
INH
10~15mg/kg/日・8~10週
8~10週ごとにTSTを繰り返す.
<5mmなら,INH中止.
≧5mmなら,合計9カ月治療.
≧5歳の小児または成人:
初回のTSTが≧5mmまたはIGRA陽性なら,潜在性結核として治療.
初回のTSTが<5mmまたはIGRA陰性なら,8~10週でTSTまたはIGRAを繰り返す.
再検でTSTが≧5mmまたはIGRA陽性なら,潜在性結核として治療.
再検でTSTが<5mmまたはIGRA陰性なら,予防は必要なし.
INH耐性または多剤耐性結核(INHおよびRFPの両方に耐性)感染が疑われるか確認されている患者との接触があり,TSTまたはIGRAが陽性の場合のINHに代わる処方については,
潜在性結核の治療
を参照.
第二選択
INHに代わる処方については,
潜在性結核の治療
を参照.
コメント
新生児:母親が治療中ならば,母親からの隔離は必要ない.
接触により潜在性結核となり予防的治療を受けなかった場合,5年間に活動性の結核を発症するリスクは2.4%であり,従来想定されていたより低い(95%CI 1.2-4.7%)(
Am J Respir Crit Care Med 190: 1044, 2014
).
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2023/09/25