日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

梅毒-晩期潜伏性  (2023/08/29 更新)
罹病期間>1年の潜伏梅毒の治療


臨床状況

  • 潜伏期間は>1年あるいは不確定,心血管病変,後期良性ゴム腫.
  • 治療が異なるため,神経梅毒は別個に検討する.
  • 性感染ではなく,治療は感染による長期の病変を予防するため.

病原体

  • T. pallidum

第一選択

  • DBECPCG 240万単位筋注週1回を3回=計720万単位
  • 晩期潜伏性梅毒患者に対し,DBECPCGの10~14日間隔投与を行ってもよい.そうでなければ上記の治療を開始する.
  • 妊婦で治療が遅延して>9日投与間隔が開いている場合は,全治療行程を繰り返す必要がある.

第二選択

  • 第二選択の有効性に関して公表されたデータはない
  • ペニシリンアレルギーあるいは注射治療が拒否された場合:不明,DOXY 100mg1日2回を考慮してもよいが,エビデンスは弱く,多くの専門家は脱感作を推奨している
  • 妊婦では脱感作を行う

コメント

  • すべての梅毒患者でHIV検査を,すべてのHIV感染者で梅毒の検査を行うこと.
  • HIV患者の梅毒は非HIV患者の場合と同様に治療する.
  • 定量的非トレポネーマ血清学検査は6,12,24カ月後に繰り返して行う.24カ月後に1/4低下しなければ,年間にわたる力価と臨床状態のフォローが必要となるだろう.フォローアップで可能性が低いか,初期力価>1:32で反応がなければ,DBECPCG 240万単位筋注3週による再治療を考慮する.
  • 神経学的症状または徴候がある場合は脳脊髄液の評価が推奨され,その結果に基づいて治療を行う.米国では,無症候性の晩期梅毒におけるルーチンの腰椎穿刺の意義には疑問がもたれており(Clin Infect Dis 61(Suppl 8): S818, 2015),現在の2021年CDC性感染症ガイドライン(MMWR Recomm Rep 70(RR-4): 1, 2021)では推奨されていない.脳脊髄液検査で陰性であれば,DBECPCG 240万単位筋注3週による再治療を行う.
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2023/08/28