日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

梅毒-中枢神経  (2024/09/17 更新)
神経梅毒の治療


臨床状況

  • 梅毒による神経障害の臨床的エビデンス
  • 認知機能障害
  • 運動あるいは感覚障害
  • 眼あるいは聴器の障害:目や耳の症状があればいずれも神経梅毒を疑い,たとえ腰椎穿刺が正常でも神経梅毒として治療する!
  • 脳神経麻痺
  • 髄膜炎の所見・症状
  • 診断:RPR/VDRLによるスクリーニングは,5年以上経つと25%で自然に陰性となるため診断に有用ではない.FTA-ABSによるスクリーニングを行う(Ann Intern Med 104: 368, 1986).
  • 上記の症状のある患者は,眼あるいは聴器症状が孤発性である場合以外は,すべて髄液検査が必要.
  • 眼の徴候/症状が孤発性であり,血清学検査で反応がみられれば,診断的液検査は不要(眼症状の約40%では髄液は正常)だが,通常の検査で症状が認められれば,検査を考慮してもよい.
  • 聴器の徴候/症状が孤発性であり,血清学検査で反応がみられれば,診断的髄液検査は不要(聴器症状の約90%では髄液は正常)
  • 髄液VDRLは特異度は高いが感度は低い.臨床症状から本症が疑われるが髄液VDRLが陰性の場合,白血球>20/μLならば神経梅毒として治療する:Sex Transm Dis 39: 291, 2012

病原体

第一選択

  • PCG 300~400万単位静注4時間ごと・10~14日

第二選択

  • (Penicillin G procaine 240万単位筋注24時間ごと+プロベネシド 0.5g経口1日4回)・10~14日:Clin Infect Dis 71: 267, 2020

コメント

  • ペニシリンアレルギー:脱感作をするか,感染症専門医にコンサルトする.ペニシリンの脱感作を参照.
  • 治療効果の血清学的基準:6~12カ月で,VDRL試験で4倍以上の低下(Clin Infect Dis 61: S818, 2015).
  • 血清学的基準や臨床的基準で反応した場合は,腰椎穿刺を繰り返す必要はない.
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2024/09/17