• Elbasvir/GrazoprevirはNS5A阻害薬（Elbasvir）とNS3/4阻害薬（Grazoprevir）の固定用量の合剤であり，genotype1型，4型のC型肝炎ウイルス(HCV)感染成人患者の治療にリバビリン併用または併用なしで用いられる．
  
• 治療開始前に，NS5A耐性の有無の検査が推奨される．
  
• 現在および以前のB型肝炎（HBV）感染のエビデンスを検査：HCV治療開始の前にHBs抗原，抗HBc抗体を測定．HBVの重複感染があれば，HCV治療中および治療後にHBV再活性化をモニターする．
  
• 注意：薬物相互作用および禁忌が多い（下表参照，すべてを網羅しているわけではない）
  
• 治療期間は12～16週
  

【臨床状況と治療期間】

• Genotype 1a（未治療または，ベースラインのNS5A遺伝子多型がなく，ペグインターフェロン/リバビリンの治療歴あり）：治療期間12週
  
• Genotype 1a（未治療または，ベースラインのNS5A遺伝子多型があり，ペグインターフェロン/リバビリンの治療歴あり）：治療期間16週
  
• Genotype 1b（未治療またはペグインターフェロン/リバビリンの治療歴あり）：治療期間12週
  
• Genotype 1a/b（未治療またはペグインターフェロン/リバビリン/プロテアーゼ阻害薬の治療歴あり）：治療期間12週
  
• Genotype 4（未治療）：治療期間12週
  
• Genotype 4（ペグインターフェロン/リバビリンの治療歴あり）：治療期間16週
  

• 18歳未満の患者での安全性と有効性は確立されていない．
  

• 腎機能障害の程度にかかわらず用量調整は不要．
  
• 血液透析を受けている患者でも用量調整は不要．
  

• 軽症肝障害患者では用量調整不要（Child-Pugh分類A）
  
• 中等度～重症肝障害患者（Child-Pugh分類B，C）では禁忌
  

• もっとも多い副作用
  

• 倦怠感，頭痛，悪心
  
• リバビリンとの併用：貧血，頭痛
  

• 警告（Black Box Warning）：HBV抑制治療を受けていないHBV/HCV重複感染患者で，DAA治療中および治療後のHBV再活性化が報告されており，劇症となる場合もある．
  

• C型肝炎ウイルス（HCV）
  

1. 注記のない場合は成人用製剤
   
2. 健康な状態での吸収率
   
3. 総薬剤量；遊離薬剤濃度を決定するには蛋白結合率で補正
   　　　SD：単回投与後
   　　　SS：複数回投与後の定常状態
   
4. CrCl＞80 mL/分と想定
   
5. （胆汁中の最高濃度）÷（血清中の最高濃度）×100
   
6. 炎症時における脳脊髄液濃度
   
7. 薬剤投与量とウイルスの感受性に基づく判定
   
8. 分布容積（Vd）：
   　　　V/F：（Vd）÷（経口生物学的利用能）
   　　　Vss：定常状態におけるVd
   　　　Vss/F：（定常状態におけるVd）÷（経口生物学的利用能）
   
9. AUC：血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve
   
10. Tmax：薬剤投与後，血漿中濃度が最大になるまでの時間