Vosevi（ソホスブビル/Velpatasvir/Voxilaprevir） (2022/4/12 更新)

Contents

1.　用法および用量
　 1.　使用
　 2.　成人用量
　 3.　小児用量
　 4.　腎障害時の用量調整
　 5.　肝障害時の用量調整
2.　副作用
3.　抗微生物スペクトラム
4.　薬理学
5.　主要な薬物相互作用

1.　用法および用量

　1.　使用

Voseviはソホスブビル（SOF: NS5B阻害薬）＋Velpatasvir（VEL: NS5A阻害薬）＋Voxilaprevir（VOX: NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬）の固定用量合剤である．
合剤1錠中にソホスブビル 400mg，Velpatasvir 100mg，Voxilaprevir 100mgを含む．
注意：多くの薬物相互作用がある（下表参照，すべてを網羅しているわけではない）
適応：genotype 1～6感染で，NS5A阻害薬を含む処方の治療歴がある，肝硬変がないか，代償性肝硬変がある慢性HCV感染成人患者，もしくは，genotype 1aまたは3感染で，ソホスブビルを含むHCV処方の治療歴はあるがNS5A阻害薬は未使用の，肝硬変がないか，代償性肝硬変がある慢性HCV感染成人患者

状況と治療期間

genotype 1b, 2, 4～6感染で，NS5A阻害薬を含むDAA処方での治療失敗歴あり：12週
genotype 1a, 3感染で，NS5A阻害薬を含まないDAA処方での治療失敗歴あり：12週

　2.　成人用量

通常用量	1錠1日1回，食事とともに

　3.　小児用量

年齢＜18歳

安全性と有効性は確立されていない

　4.　腎障害時の用量調整

末期腎不全で透析が必要な場合も含め，どのような段階の腎障害でも用量調整は不要

　5.　肝障害時の用量調整

軽度の肝障害では用量調整不要（Child-Pugh分類A）
中等度～重度の肝障害患者（Child-Pugh分類BまたはC）では推奨されない

2.　副作用

最も多いもの：頭痛，倦怠感，下痢，悪心
警告（Black Box Warning）：HBV/HCV重複感染患者，特にHBV抑制治療を受けていない患者では注意して用いること．肝トランスアミナーゼの急激な上昇を伴うHBV感染の劇症化に注意．致死的となりうる．

3.　抗微生物スペクトラム

C型肝炎ウイルス（HCV）

4.　薬理学

	Voxilaprevir	ソホスブビル	Velpatasvir
薬効分類	NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬	NS5B RNAポリメラーゼ阻害薬	NS5A阻害薬
PK/PD指標	データなし	データなし	データなし
Vosevi 1錠中の用量	100mg	400mg	100mg
通常成人用量	Vosevi 1錠1日1回
妊娠危険区分	ヒトのデータはない．動物では安全
経口剤の投与のタイミング1	Vosevi錠を食事とともに服用
経口吸収率2（％）	データなし	データなし	データなし
最高血清濃度3（μg/mL）	0.19（SS）	0.68(SS)[GS-331007: 0.74(SS)］注：GS-331007は血液中の主要な代謝産物	0.31（SS）
蛋白結合（％）	＞99	61～65	＞99
平均血清半減期4（T1/2, 時間）	33	0.5 [GS-331007: 29]	17
胆汁排泄5（％）	データなし	データなし	データなし
脳脊髄液/血液6（％）	データなし	データなし	データなし
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7	データなし	データなし	データなし
分布容積8（Vd）	データなし	データなし	データなし
AUC9（μg・時間/mL）	2.58（AUC0-24)	1.67(AUC0-24)[GS-331007: 12.8(AUC0-24)］	4.04（AUC0-24)
CYP450，トランスポーターとの相互作用	基質：PGP, BCRP, OATP1B1/3, 1A2, 2C8, 3A4 阻害：PGP, BCRP, OATP1B1, OATP1B3	基質：PGP, BCRP CYP450相互作用なし	基質：PGP, BCRP, OATP1B1, OATP1B3, 2B6, 2C8, 3A4 阻害：PGP, BCRP, OATP1B1, OATP1B3, OATP2B1
Tmax（時間）10	4	2	4

注記のない場合は成人用製剤
健康な状態での吸収率
総薬剤量；遊離薬剤濃度を決定するには蛋白結合率で補正
　　　SD：単回投与後
　　　SS：複数回投与後の定常状態
CrCl＞80 mL/分と想定
（胆汁中の最高濃度）÷（血清中の最高濃度）×100
炎症時における脳脊髄液濃度
薬剤投与量とウイルスの感受性に基づく判定
分布容積（Vd）：
　　　V/F：（Vd）÷（経口生物学的利用能）
　　　Vss：定常状態におけるVd
　　　Vss/F：（定常状態におけるVd）÷（経口生物学的利用能）
AUC：血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve
Tmax：薬剤投与後，血漿中濃度が最大になるまでの時間

5.　主要な薬物相互作用

薬剤	濃度への影響（その他）	推奨される対応
アミオダロン	徐脈	併用を避ける
抗酸剤	VEL↓（pH↑のため）	投与間隔を4時間あける
アタザナビル	VOX↑	併用を避ける
アトルバスタチン	アトルバスタチン↑	モニター（スタチンの最小有効用量を用いる）
カルバマゼピン	SOF, VEL, VOX↓	併用を避ける
シクロスポリン	VOX↑	併用を避ける
ダビガトラン	ダビガトラン↑	モニター，用量調整
ジゴキシン	ジゴキシン↑	モニター，用量調整
エファビレンツ	VEL, VOX↓	併用を避ける
フルバスタチン	フルバスタチン↑	モニター（スタチンの最小有効用量を用いる）
H2拮抗薬	VEL↓（pH↑のため）	H2拮抗薬の最大用量をファモチジン40mg1日2回と等価量にする
ロピナビル/リトナビル	VOX↑	併用を避ける
ロバスタチン	ロバスタチン↑	モニター（スタチンの最小有効用量を用いる）
Nirmatrelvir/リトナビル	SOF, VEL, VOX↑	モニター，さらなる情報を求める
Oxcarbazepine	SOF, VEL, VOX↓	併用を避ける
フェノバルビタール	SOF, VEL, VOX↓	併用を避ける
フェニトイン	SOF, VEL, VOX↓	併用を避ける
ピタバスタチン	ピタバスタチン↑	併用を避ける
プラバスタチン	プラバスタチン↑	プラバスタチンの最大用量40mg1日1回
プロトンポンプ阻害薬	VEL↓（pH↑のため）	オメプラゾール20mg1日1回は可．他のプロトンポンプ阻害薬はデータなし
リファブチン	SOF, VEL, VOX↓	併用を避ける
リファンピシン	SOF, VEL, VOX↓	併用禁忌
Rifapentine	SOF, VEL, VOX↓	併用を避ける
ロスバスタチン	ロスバスタチン↑	併用を避ける
シンバスタチン	シンバスタチン↑	モニター（スタチンの最小有効用量を用いる）
セイヨウオトギリソウ	SOF, VEL, VOX↓	併用を避ける
テノホビルジソプロキシル	テノホビルジソプロキシル↑	モニター
Tipranavir/リトナビル	SOF, VEL↓	併用を避ける