日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Tipranavir  (2023/06/13 更新)

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 主要な薬物相互作用

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

通常用量
[500mg(250mg 2カプセル)+リトナビル200mg]経口1日2回,食事とともに.

 3. 小児用量

<2歳
承認されていない
通常用量
(>2歳)
体表面積に基づく用量:(375mg/m2+リトナビル150mg/m2)経口1日2回
体重に基づく用量:(14mg/kg+リトナビル6mg/kg)経口1日2回
(未治療の患者には推奨されない)
青少年
(500mg+リトナビル200mg)経口1日2回
(未治療の患者には推奨されない)

 4. 腎障害時の用量調整

なし

 5. 肝障害時の用量調整

Child-Pughスコア 5~9:用量調整なし

Child-Pughスコア>9:使用しない

2. 副作用

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

薬効分類
プロテアーゼ阻害薬(PI)
PK/PD指標
データなし
剤形
250mgカプセル(未開封ボトルは冷蔵保存)
100mg/mL溶液(室温で保存)
開封済ボトルのカプセルおよび溶液は60日以内に使用すること
通常成人用量
(500mg+リトナビル200mg)経口1日2回
FDAの妊娠危険区分
C
経口剤の投与のタイミング1
カプセル,溶液とも食事とともに服用
経口吸収率2(%)
吸収率は低い(高脂肪食で↑,Al3+,Mg2+制酸薬で↓).
最高血清濃度3(μg/mL)
47~57(SS)
蛋白結合(%)
99.9
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
5.5~6
細胞内半減期(T1/2, 時間)
データなし
排泄(%)
リトナビルと併用した場合にはほとんど代謝されず,大部分は未変化のまま糞便中に排出される.
中枢神経系移行効果(CPE)5
1
脳脊髄液/血液6(%)
データなし
分布容積7(Vd)
7.7~10 L
AUC8(μg・時間/mL)
1600μM・時間 (AUC 0-24)
CYP450,トランスポーターとの相互作用
基質:3A4,PGP
阻害:OAT
誘導:3A4,PGP(弱い)
Tmax9(時間)
3
  1. 注記のない場合は成人用製剤
  2. 健康な状態での吸収率
  3. 総薬剤量;遊離薬剤濃度を決定するには蛋白結合率で補正
      SD:単回投与後
      SS:複数回投与後の定常状態
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. CPE(中枢神経系移行効果)値 1:低度,2~3:中等度,4:高度(Letendre, et al., CROI 2010, abs #430)
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 分布容積(Vd):
      V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能)
      Vss:定常状態におけるVd
      Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve
  9. Tmax:薬剤投与後,血漿中濃度が最大になるまでの時間

5. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
Alfuzosin
Alfuzosin↑
禁忌
アミオダロン
アミオダロン↑
禁忌
アトルバスタチン
アトルバスタチン↑
併用を避ける
ベプリジル
ベプリジル↑
禁忌
ボセンタン
ボセンタン↑
モニター,用量調整
ブプレノルフィン/ナロキソン
Tipranavir↓
併用を避ける
カルバマゼピン
Tipranavir↓
併用を避ける
クラリスロマイシン
Tipranavir↑,クラリスロマイシン↑,14-OHクラリスロマイシン↓
腎障害では用量調整
コルヒチン
コルヒチン↑
腎/肝障害では禁忌,その他の場合は用量調整およびモニター
シクロスポリン
シクロスポリン↑↓
モニター
Desipramine
Desipramine↑
モニター,用量調整
ジルチアゼム
ジルチアゼム↑↓
モニター
エプレレノン
エプレレノン↑
禁忌
麦角アルカロイド
麦角アルカロイド↑
禁忌
エチニルエストラジオール
エチニルエストラジオール↓
他の方法を用いる
フェロジピン
フェロジピン↑
モニター
フレカイニド
フレカイニド↑
禁忌
フルコナゾール
Tipranavir↑
フルコナゾール最大用量200mg1日1回
Fluoxetine
Fluoxetine↑
モニター,用量調整
フルチカゾン
フルチカゾン↑
併用を避ける
Lenacapavir
Lenacapavir↓
併用を避ける
ロバスタチン
ロバスタチン↑
禁忌
Meperidine
Meperidine↓,normeperidine↑
併用を避ける
Methadone
Methadone↓
モニター,用量調整
メトロニダゾール
ジスルフィラム様反応がありうる
モニター
ミダゾラム(静注)
ミダゾラム↑
モニター,用量調整
ミダゾラム(経口)
ミダゾラム↑
禁忌
ニカルジピン
ニカルジピン↑↓
モニター
ニソルジピン
ニソルジピン↑↓
モニター
オメプラゾール
オメプラゾール↓
モニター,用量調整
その他のARV薬
抗レトロウイルス薬間の薬物相互作用参照
パロキセチン
パロキセチン↑
モニター,用量調整
フェノバルビタール
Tipranavir↓
併用を避ける
フェニトイン
Tipranavir↓
併用を避ける
ピモジド
ピモジド↑
禁忌
プロパフェノン
プロパフェノン↑
禁忌
クエチアピン
クエチアピン↑
用量調整または避ける
キニジン
キニジン↑
禁忌
リファブチン
リファブチン↑,desacetylrifabutin↑
モニター,用量調整
リファンピシン
Tipranavir↓
禁忌
ロスバスタチン
ロスバスタチン↑
併用を避ける
サルメテロール
サルメテロール↑
併用を避ける
セルトラリン
セルトラリン↑
モニター,用量調整
シルデナフィル(EDに対して)
シルデナフィル↑
モニター,用量調整
シルデナフィル(PAHに対して)
シルデナフィル↑
禁忌
シンバスタチン
シンバスタチン↑
禁忌
シロリムス
シロリムス↑↓
モニター
セイヨウオトギリソウ
Tipranavir↓
禁忌
タクロリムス
タクロリムス↑↓
モニター
タダラフィル(EDに対して)
タダラフィル↑
モニター,用量調整
タダラフィル(PAHに対して)
タダラフィル↑
モニター,用量調整
トラゾドン
トラゾドン↑
モニター,用量調整
トリアゾラム
トリアゾラム↑
禁忌
バロプロ酸
バロプロ酸↓
モニター,用量調整
バルデナフィル
バルデナフィル↑
モニター,用量調整
ベラパミル
ベラパミル↑↓
モニター
ワルファリン
ワルファリン↑↓
INRをモニター,用量調整
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2023/06/12