Contents
1. 用法および用量
1. 使用
2. 成人用量
3. 小児用量
4. 腎障害時の用量調整
5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 薬理学
4. 主要な薬物相互作用
5. コメント
1. 用法および用量
1. 使用
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初期T. brucei rhodesiense感染(第一選択):コメント参照
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初期T. brucei gambiense(第二選択:オンコセルカ症が除外された場合のみ使用可)
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Trypanosoma brucei rhodesiense感染(東アフリカトリパノソーマ症)初期段階の治療薬として,CDC薬剤サービス,または各国におけるWHO指定機関より入手可能(入手困難な抗寄生虫薬の供給元参照).
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おそらく2024年にはFexinidazoleの経口処方に取って代わられるだろう.
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血液-脳関門を通過しないため,中枢神経感染には無効.
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腎・肝疾患患者では使用しない.血管虚脱での死亡例の報告あり.
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調製用の1g粉末剤:注射用滅菌水10mL(米国薬局方)を加え,10%(100mg/mL)の溶液とする.
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即時型過敏反応および血行動態の不安定化を避けるため,最初に100mg静注(小児では2mg/kg)の試験投与を行う.
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試験投与に耐えられない場合は使用しない.
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可能性のある作用機序(Antimicrob Agents Chemother 64: e01168, 2020).
2. 成人用量
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1g静注(ゆっくりと),1,3,7,14,21日目.
3. 小児用量
用量(生後>28日)
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20mg/kg静注,1,3,7,14,21日目. (2mg/kg静注の試験投与から始める)
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最大/日
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1g
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4. 腎障害時の用量調整
半減期(時間)(腎機能正常)
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44~54日
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半減期(時間)(ESRD)
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データなし
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用量(腎機能正常)
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1g1,3,7,14,21日目
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CrClまたはeGFR
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データなし 腎不全患者では慎重に使用する
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血液透析
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データなし
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CAPD
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データなし
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CRRT
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データなし
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SLED
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データなし
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5. 肝障害時の用量調整
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蛋白結合率が高い:理論的には,血清アルブミン濃度が非常に低い患者では遊離薬剤濃度が高くなりうる.
2. 副作用/妊娠時のリスク
副作用
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副作用は頻繁にみられるが,通常は軽症かつ可逆的.関節炎,腎毒性(円柱が見られるか,アルブミン尿増加の場合は薬剤中止),肝毒性,発熱,倦怠感,発疹/そう痒感,限局性浮腫,眼球への作用(Ocular reactions),神経系合併症(頭痛や異常感覚など),相対的副腎不全など.
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重度剥奪性皮膚炎,無顆粒球症,溶血性貧血,生命を脅かす特異体質反応(アナフィラキシー型)の報告がまれにある.過敏性反応のおそれがあるため,試験投与を行う(上記参照).
妊娠時のリスク
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FDAリスク区分(新):ヒトでのデータは不十分,一部の動物で催奇形性.可能なら妊婦での使用は避ける
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授乳中の使用:データなし,使用は避ける
3. 薬理学
PK/PD指標
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データなし
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剤形
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注射
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食事に関する推奨(経口薬)1
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経口吸収率(%)
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Tmax(時間)
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データなし
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最高血清濃度2(μg/mL)
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>100(数週持続する)
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最高尿中濃度(μg/mL)
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データなし
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蛋白結合(%)
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約99.7
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分布容積3(Vd)
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データなし
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平均血清半減期4(T1/2, 時間)
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44~54日
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排泄
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腎
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胆汁移行性5(%)
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データなし
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脳脊髄液/血液6(%)
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ほとんどない
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治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
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なし
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AUC8(μg・時間/mL)
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データなし
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注記のない場合は成人用経口製剤
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SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
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V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
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CrCl>80 mL/分と想定
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(胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
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炎症時における脳脊髄液濃度
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薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
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AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x
4. 主要な薬物相互作用
5. コメント
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東アフリカトリパノソーマ症の後期で,Melarsoprol投与前に血液リンパ系からTrypanosomeを除去するためにしばしばSuraminによる前治療が行われる:前治療によりMelarsoprol関連の副作用が減少することがある.
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毒性の問題があること,DOXYとイベルメクチン/Moxidectin併用治療が有用であることから,現在ではOnchocerca volvulus成虫の殺虫に考慮されることはない.
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