日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Staphylococcus aureus,MSSA  (2026/03/31 更新)
MSSA,S. aureus, 感受性菌


臨床状況

  • Methicillin感受性S. aureus(MSSA)を培養で分離.
  • 特異的治療は重症度と感染部位による.
  • 具体的な推奨については以下を参照:

分類

  • Methicillin感受性Staphylococcus areus(MSSA)

第一選択

  • 菌血症,その他の侵襲性感染症
  • NafcillinまたはOxacillin 2g静注4~6時間ごと,またはCEZ 2g静注8時間ごと(コメント参照)
  • 軽症~中等症感染に対する経口治療の選択肢
  • CEX 500mg経口1日4回

第二選択

  • 菌血症,その他の侵襲性感染症で,βラクタム薬に対する重症アレルギーまたは治療の妨げとなる副作用がある場合
  • VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)(コメント参照)
  • DAP 6mg/kg静注24時間ごと(菌血症に対しては8~10mg/kg用量の使用を考慮する)
  • LZD 600mg/kg経口または静注12時間ごと:
  • 菌血症のない患者,単純性菌血症(感染源のコントロール良好,感染の転移巣なし,血液培養が速やかに陰性化),静脈カテーテル関連感染による単純性菌血症,急性細菌性皮膚/軟部組織感染症または肺炎の合併のある菌血症患者に対して.
  • 軽症または中等症感染に対する経口治療の選択肢
  • CLDM 300~450mg経口1日3回
  • ST (800mg/160mg)1~2錠経口1日2回
  • LZD 600mb経口12時間ごと
  • Dalbavancinを以下のように,複雑性MSSA菌血症に対する地固め治療
  • 不安定な患者あるいは血液培養が陰性にならない患者での初期治療またはサルベージ治療としては推奨されない.
  • MSSA静注治療として,Dalvabancin 1500mg静注1週間ごとを標準的な4~8週コースと比較したランダム化では,標準的治療と同等だった.

治療期間/抗微生物薬適正使用

治療期間
  • 感染部位,感染の重症度により異なる
  • 軽症~中等症感染,たとえば合併症のない組織・軟部組織感染症などでは,わずか5~7日での治療も可能なことがある.
  • 感染がより重症で,深部組織,無菌部位に広がっている,あるいは菌血症を伴う場合にはより長期の治療が必要;たとえば,合併症のない菌血症では2週,化膿性関節炎では2~4週,骨髄炎では6~8週,心内膜炎では6週,感染の転移病巣がある場合には6週.
抗微生物薬適正使用
  • S. aureusによる菌血症が疑われるか確認され,in vitroの感受性結果が出ていない場合,経験的VCM治療と経験的βラクタム薬治療は,特異的治療にβラクタム薬を使用すれば同等の効果のようだ.
  • 初期の経験的治療でのβラクタム薬とVCM併用がアウトカムを改善するというエビデンスはなく,推奨されない.
  • S. aureusによる菌血症または他の侵襲性感染に対しては,CEZ,Nafcillin,Oxacillin以外のβラクタム薬(たとえば,CTRX)による注射治療の有効性は証明されておらず,通常は推奨されない.
  • CFDCは,FDAによりMSSA菌血症に承認されているが,おそらくMRSAのために温存しておいたほうがよい.

コメント

  • Staphylococcus感染症治療には望ましくはβラクタム薬を用いる.VCMはNafcillinやCEZよりも有効性が低いため,アレルギーや副作用のためβラクタムに不耐の患者のために温存しておく(Clin Infect Dis 61: 361, 2015).
  • フランスで実施された多施設共同無作為化対照試験(MSSA菌血症)において,CEZはCloxacillinに対して非劣性を示した(Lancet 406: 2349, 2025).
  • 中枢神経系感染症およびインプラント関連感染症の患者は除外された.
  • CEZ群146例中75%,Cloxacillin群146例中74%が,3~5日目の無菌血液培養,菌血症の再発なし,生存率,および90日目の臨床的成功の複合評価基準に合致した.
  • Cloxacillin群ではCEZ群と比較して重篤な有害事象(27%対15%,p=0.01)および急性腎障害(12%対1%,p=0.0002)の発生率が高かった.
  • 臨床分離株にA型β-ラクタマーゼ遺伝子(CEZのinoculum effectと関連付けられている対立遺伝子型)が含まれる参加者では,非劣性が認められなかった.
  • CEZ inouclum effect(107 CFU/mL以上の高接種量でMIC≧16μg/mL)を示す菌株によるMSSA菌血症に対するCEZ治療は,CEZの加水分解によるものと仮説が立てられているように,予後不良と関連する可能性がある(Open Forum Infect Dis 5: ofy123, 2018
  • 接種量が多い感染症(たとえば,心内膜炎,排膿されていない大きな膿瘍の存在)の初期治療としては,CEZよりも抗Staphylococcus作用のあるペニシリンの方が望ましいことがある.
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2026/03/31