日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

アデノウイルス,ワクチン  (2024/03/05 更新)


ワクチン接種の適応

はじめに
  • アデノウイルス抗原は特異的で50超の血清型がある.ワクチンは血清型4および7.
  • 全年齢に感受性があるが,通常は非軍事的な環境で小児に影響する.
  • Ad4,Ad7は軍隊入隊者での呼吸器疾患の主要原因である.
  • 乳児,高齢者,免疫不全者(特に移植患者),基礎疾患のある人は,さまざまな血清型による播種および重症化のリスクが高い.

標準コース(ルーチン)
  • 海外渡航とは関係なく,年齢17~50歳の軍隊入隊者のみ

用量とスケジュール
商品名(製造元)
アデノウイルス4型,7型ワクチン(Barr/Teva)
ワクチン(タイプ,CDC略語)
アデノウイルス4型,7型ワクチン,生,経口
年齢
17~50歳(軍隊関係者のみ)
用量,経路
経口(Ad41錠,Ad71錠).噛み砕かずに飲み込む1
初回接種-標準コース
1回
初回接種ー短縮コース
なし
その後の追加接種
なし
  1. 偶然噛み砕いてしまった場合:多めの水で何口かすすって口をゆすいで,飲み込む;口内消毒液で30秒口をゆすいで,容器の中に吐き出し,生物学的有害物質として廃棄する.

有効性,予防効果持続期間

  • セロコンバージョン率(26日で中和抗体力価≧1:8)Ad4で94.5%,Ad7で93.8%.
  • 免疫持続期間は不明:ワクチン接種後6年での力価幾何平均は安定(60人).

選択,互換性

  • 現在使用可能な唯一のワクチン製剤.初期のワクチンは1999年に製造中止.

毒性

禁忌
  • 以前の接種での,またはワクチン含有物に対するアナフィラキシー反応
  • 妊婦
  • それぞれの錠剤を(噛み砕かずに)飲み込めない人
警告
  • 定義:一般にワクチン接種は延期すべきだが,副反応のリスクよりもワクチンによる予防の有用性が上回る場合には適応となることがある.
  • 中等症または重症急性患者(発熱の有無にかかわらず).
  • 腸管内の生アデノウイルス増殖干渉による嘔吐および/または下痢がある場合には接種を延期.
  • 糞便への生ワクチンウイルス排出があるため,免疫不全者および妊婦では28日間接種を避ける.
副作用
  • 上気道感染,頭痛,鼻閉,咽頭痛,咳,関節痛,発熱,悪心,腹痛,下痢,嘔吐
  • ワクチン接種後6ヵ月以内に,血尿,胃腸炎,発熱性胃腸炎,胃炎,肺炎,血便などの重症副事象が1%に起こる.
  • 軍隊入隊者では,重症副作用が他のワクチンでは18%なのに対し,本ワクチンでは39%に起こる.
  • ギラン・バレー症候群およびアナフィラキシーの発症率も,軍隊入隊者ではより高率になる.
薬物相互作用
  • アデノウイルスワクチンと免疫抑制療法との併用に関するデータはない.

特に注意の必要な対象

妊婦,授乳
  • 妊婦および今後6週以内に妊娠が予想される女性では禁忌
  • 不注意に妊婦に接種してしまった,あるいは接種後6週以内に妊娠が判明した場合も,妊娠中絶の理由にはならない.
  • 授乳に対する禁忌ではない.
  • 28日間は糞便中にワクチンウイルスが排出されるため,年齢<7歳の小児との密接な接触がある場合には注意が必要である.
免疫不全/HIV
  • 原発性あるいは後天性免疫不全のある人での安全性および有効性の評価は行われていない.
  • 重度の免疫不全者は,一般に基礎的軍事訓練に選抜されることはない.

血清検査

  • 適応とならない

コメント

  • CDC ACIPの推奨は,実際にワクチン接種を行う医療従事者がアクセスすることの多いFDA添付文書と比べて,より広い(適応外使用)こともより狭いこともある.
  • 情報源
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2024/03/04