日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

インフルエンザ(鳥)  (2020/1/28 更新)


臨床状況

  • 重症例はH7N9(主に中国)およびH5N1(多くの国々,おもにエジプト,インドネシア,ベトナム)と関連する.下記のWHOのリンクを参照.
  • 通常家禽類との密な接触の後に発症する.H5N1は家禽類で重症感染を引き起こすが,H7N9は無症候のこともある.
  • 診断は難しい:多くの場合迅速検査は陰性.咽頭拭い液のPCRが最も信頼できるが,症例の半数は陰性.
  • H5N1およびH7N9の症例では死亡率が高い(37~50%).他の種は一般的には軽度.

病原体

  • インフルエンザ(A)H5N1
  • インフルエンザ(A)H7N9
  • インフルエンザ(A)H9N2
  • インフルエンザ(A)H7N2
  • まれなケースとしてその他

第一選択

  • 成人:75mg経口1日2回・5日
  • 小児(1~12歳):オセルタミビル・体重別用量
      乳児(生後2週~11カ月):3mg/kg 1日2回・5日
      体重≦15kg:30mg 1日2回・5日
      15kg<体重≦23kg:45mg 1日2回・5日
      23kg<体重≦40kg:60mg 1日2回・5日
      体重>40kg:75mg 1日2回・5日

第二選択

  • ザナミビル 600mg静注†12時間ごと・最低5日(研究中)オセルタミビル耐性の有無にかかわらず重症で生命の危険がある場合が対象(コメント参照)
  • ペラミビル 600mg静注単回投与(単回投与としてFDA承認.H5N1およびH7N9のような鳥インフルエンザ株の重篤な疾患に対しては,より長い投与期間を考慮すべきかもしれない)

(†:日本にない剤形)

コメント

  • COPDや喘息患者ではザナミビルによる気管支けいれんの危険性あり.
  • 免疫不全患者および重症患者ではウイルス排出が長引く.病状が改善しないようなら,抗ウイルス治療を10日かそれ以上に延長することを考慮する.
  • 静注ザナミビルは米国では研究中新剤形の例外的使用としても入手できない.その他の管轄では入手できる可能性もある.
  • バロキサビル(複数回)+オセルタミビルの併用治療が季節性インフルエンザの重症例で研究されており,有用と考えられる.
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2020/01/28