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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
HIV 酵素免疫抗体法(EIA)検査
(
2025/09/09 更新
)
EIA検査
HIV酵素免疫抗体法(EIA)検査
検査には第4世代まであり,第4世代のアッセイでは曝露後4~6週以内に抗体検出が可能.全血または血漿を用いる.
全HIV非Bサブタイプ(クレード)を検出
HIV-2 抗体を検出
Bio-Rad GS コンボ,および Abbott Architectもp24抗原を検出する.
EIA検査の感度および特異度は,HIV-1ではともに99.9%.HIV-2では感度は不定.西アフリカからの患者ではHIV-2を考慮する.
CDCの推奨する検査アルゴリズム(
臨床検査診断:HIV-1,HIV-2
を参照).
家庭用HIV検査:
家庭用迅速アッセイ,CLIA(臨床検査室改善法)でWaived(基本的に精度保証活動を必要としない)認定,唾液を用いる.
特異度が高い
標準的ELISAに比べて,感度92%.
HIV NAAT法で確認.
HIV抗体検査が陽性の場合は,NAATによる確認が推奨される:
リアルタイムPCR(RT-PCR)によるHIV RNA定量
ウェスタンブロット法による確認は,現在は推奨されない.
EIA検査では偽陽性はまれ.偽陽性の原因として考えられるのは:
最近のワクチン接種(インフルエンザ,狂犬病,B型肝炎など)
自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど)
妊娠
多発性骨髄腫
末期腎臓病
DNAウイルス感染
原発性胆汁性肝硬変
アルコール性肝炎
マラリア
デング熱
EIA検査で偽陰性の原因として考えられるのは:
感染と抗体反応の間のウインドウ期
無γグロブリン血症
悪性腫瘍または薬物による免疫抑制
第4世代抗体検査の感度と特異度が高くなったため,HIV遺伝子変異株による感染での陰性は,現在では非常にまれになった.
HIV-1の遺伝子型分類
M(main/major):10のサブタイプ(クレード)がある:A~J.米国とヨーロッパではサブタイプBが最も多く,米国では非Bサブタイプはわずか2%.米国ではB以外のさまざまなサブタイプおよびリコンビナントの有病率が増加している.
O(outlier-中央アフリカ):まれであり,第1,第2世代のEIAでは検出されない.
NまたはP(novel[non-M & non-O]-中央アフリカ):まれである.
系統発生的な3分類
流行しているリコンビナント型(CRF)
定義:サブタイプ間リコンビナントウイルスは,疫学的に関連しない3か所以上の住民の間で全ゲノム解析をすることで同定される.
CRFは数字(発見された順番)に元のサブタイプを表す文字を組み合わせて命名(カタログ化)される.3つ以上のサブタイプからのリコンビナント型はCPXという略語で呼ばれる.
CRF命名の例:CRF01_AE,CRF06_CPX,CRF_14_BG
HIV遺伝子型の地理的分布は変化し数も増大している.HIV遺伝子変異についての最新情報の要約は
HIV Sequence Database
参照.
ウエスタンブロット法
ウエスタンブロット法による確認は推奨されない.抗原抗体反応を組み合わせること(上記参照)
ウエスタンブロット法:HIV蛋白の寒天ゲル電気泳動.以前は抗体検査陽性を確認するために使用された.
ほとんどの施設でウエスタンブロット法はNAATに代替されている.以下のコメントは,EIA検査結果陽性を確認するのにウエスタンブロット法が用いられるまれな状況についてである.
陽性の確認(HIV-1)には,gp120/160バンドおよびgp41またはgp24バンドの存在を必要とする(CDCによる).
陰性の確認:バンドなし.
判定保留:EIA抗体陽性で単一のウエスタンブロット抗体の場合(発生率は1:5000).血漿でのNAAT(HIV RNA定量)に進む.ウエスタンブロット法での判定保留となる要因をまとめ,その頭文字を並べてINDETERMINEと表す.
I
=
I
nfection (感染:HIV-2,HTLV-1,住血吸虫症)
N
=
N
eoplasms(腫瘍)
D
=
D
ialysis(透析)
E
=
E
thnicity(民族:アフリカ系)
T
=
T
hyroiditis(甲状腺炎)
E
=
E
levated bilirubin(高ビリルビン)
R
=
R
heumatologic diseases(リウマチ疾患)
M
=
M
ultiple pregnancies(多胎妊娠)
I
=
I
mmunization(ワクチン接種)
N
=
N
ephrotic massive proteinuria(ネフローゼ性大量蛋白尿)
E
=
E
rror in lab testing(臨床検査のエラー)
文献:
Clin Infect Dis 57: 712, 2013
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2025/09/08