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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
単純ヘルペス-脳炎
(
2024/06/04 更新
)
単純ヘルペス脳炎
臨床状況
HSV1型は散発性脳炎の原因として最も多い.
リスク因子:多発性硬化症またはクローン病治療のためのナタリズマブ使用:
Clin Infect Dis 57: 849, 2013
.
生存率と神経学的後遺症からの回復の程度は,治療開始時の精神症状の程度に左右される.
早期診断・早期治療が重要(
N Engl J Med 371: 68, 2014
).
病原体
診断
脳生検(ゴールドスタンダード)
脳脊髄液HSV PCR(脳生検に取って代わる;感度および特異度は約98~99%.最初の検査が陰性ならば3~7日後に繰り返す.
ただしそのために治療を遅らせてはならない
)
病原体
単純ヘルペスウイルス
(HSV)(1型)
ときにはHSV 2型による発症もある
第一選択
成人:
アシクロビル
10~12.5mg/kg静注(1時間以上かけて)8時間ごと・14~21日
肥満患者での用量計算は不明.
高用量での腎毒性を軽減するために,1回1時間以上かけて注入するのが適切と考えられる.
小児:<12歳の小児では
アシクロビル
10~15mg/kg 8時間ごと,新生児のヘルペス中枢神経疾患では20mg/kg 8時間ごと
第二選択
なし
抗微生物薬適正使用
成人に対しては高用量(15mg/kg8時間ごとまで)が用いられているが,付加的な効果はほとんどないことが報告されている(
Curr Infect Dis Rep 19: 13, 2017
)
コメント
アシクロビル投与で致死率>70%が19%に減少した.
HSV脳炎の治療成功後の自己免疫脳炎[N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体抗体を介する].当初は治療開始後1〜7週におけるHSV脳炎再発と考えられたが,後に自己免疫現象であることが判明した.診断は髄液中の神経細胞の抗体検出により行う(抗原検査は陰性).全身性コルチコステロイド(望ましい),IVIG,または血漿交換による治療を行う(
Neurol Clin 39: 197-207, 2021
;
Lancet Neurology 17: 760, 2018
).
症例シリーズ報告(治療を受けた成人106例):
J Clin Virol 60: 112, 2014
優れた総説:
Neurol Clin 35: 695, 2017
;
Curr Infect Dis Rep 19: 13, 2017
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2024/06/04