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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
軟性下疳
(
2024/05/21 更新
)
臨床状況
有痛性の性器潰瘍を伴う性感染症.
有病率は世界的に減少している.
発展途上国の小児における慢性皮膚潰瘍の原因(
Emerg Infect Dis 22: 1, 2016
).
性器潰瘍
:
疼痛あり:単純ヘルペスウイルス(HSV)および軟性下疳(
Curr Opin Infect Dis 29: 52, 2016
).
疼痛なし:梅毒,性病性リンパ肉芽腫症(LGV)(リンパ節腫脹の痛みあり),鼠径部肉芽腫(
Klebsiella granulomatis
またはドノバン症)
性器潰瘍のあるすべての患者は,梅毒(暗視野法と血清学検査),HSV(培養またはPCR),
H. ducreyi
の培養検査を受けること(FDAはPCRを承認していないが,行っている施設もある).鼠径部肉芽腫では生検が必要.
複数の病原体が認められることがある.
7日後の潰瘍の改善を確認する必要がある.
病原体/診断
病原体
Haemophilus ducreyi
診断
Haemophilus ducreyi
の培養には特別な培地が必要だが,まだ広く利用されていない.
NAATは培養よりも感度が高いが,まだ広く利用されていない.
以下のすべての項目を満たす場合,診断可能.
1) 1つ以上の痛みを伴う性器の潰瘍
2) 典型的な性器潰瘍の臨床症状±局所リンパ節腫脹を伴う.
3) 潰瘍発症から7~14日後,
T. pallidum
感染を示す証拠(暗視野検査,NAAT,または血清学検査)がない.
4) 潰瘍滲出液または体液のHSV-1,HSV-2 NAAT,またはHSV培養が陰性.
第一選択
CTRX
250mg筋注††1回
AZM
1g経口1回
(††:米国では処方される)
第二選択
CPFX
500mg経口1日2回・3日
EM
500mg経口1日3回・7日
コメント
他の性感染症と同様,軟性下疳と診断された患者はすべてHIV検査を受けること.
HIV陽性患者で,AZM 1回の失敗の報告がある(
Clin Infect Dis 21: 409, 1995
).
HIV感染または割礼を受けていない男性患者は,治療への反応性が低い可能性がある.
シプロフロキサシンとエリスロマイシンの耐性の報告があるが,抗菌薬感受性に関する信頼できる報告は少ない.
最も効果的な治療法に関する質の高いデータは比較的少ない(
Cochrane Database Syst Rev 12: CD012492, 2017
)
軟性下疳患者のすべてのセックスパートナーは,罹患のエビデンスがある,または当該患者と60日以内の性関係があった場合には,検査・治療を受ける必要がある.
CDC性感染症ガイドライン(2021)参照:
MMWR Recomm Rep 70(RR-4): 1, 2021
梅毒,HSV以外による性器潰瘍についての総説:
Infect Dis Clin North Am 37: 369, 2023
.
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2024/05/21