日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Stenotrophomonas maltophilia  (2026/03/31 更新)
Xanthomonas, Pseudomonas


臨床状況

  • Stenotrophomonas maltophiliaは,肺炎,菌血症その他の感染症を引き起こす.
  • 免疫不全患者,全身状態不良患者で感染が起こりやすい.
  • 嚢胞性線維症患者の急性増悪の原因となることがある(P. aeruginosaを伴うことも伴わないこともある)
  • Stenotrophomonasは以下の薬剤に自然耐性
  • βラクタム系薬(ペニシリン系,セファロスポリン系,AZT,カルバペネム系)には,染色体性の次の機序のために耐性
  • 亜鉛依存性メタロβラクタマーゼ
  • 基質拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生
  • OXA型βラクタマーゼ

分類

  • グラム陰性桿菌,非発酵菌

第一選択

  • 軽症感染および原因菌としてのS. maltophiliaの役割が不明の複数菌感染:ST(トリメトプリム成分)10~15mg/kg/日静注/経口8時間ごと,または12時間ごとに分割が好ましい処方
  • 単純性膀胱炎にはST 800/160mg経口12時間ごと

第二選択

  • 中等症または重症感染に対して:
  • 次の薬剤から2剤の併用治療:ST(10~15mg/kg/日静注/経口8時間または12時間ごとに分割),LVFX(750mg静注/経口24時間ごと),MINO(200mg静注/経口12時間ごと),またはCFDC(2g3時間以上かけて静注8時間ごと)(Clin Infect Dis 74: 2089, 2022
  • CAZ/Avibactam 2.5g3時間以上かけて静注8時間ごと+AZT 2g2時間以上かけて静注8時間ごと(コメント参照)
  • 軽症感染およびS. maltophiliaの役割が不明の複数菌感染:STLVFXMINOCFDCでの単剤治療

抗微生物薬適正使用

  • 重症度,感染巣のコントロール,in vitro感受性,および臨床反応に基づき,STまたはMINO単剤治療へde-escalationしてもよい.

コメント

  • 標準的な治療処方はない.IDSAガイダンスでは,上記の薬剤ではよくみられる治療中の急速な耐性発現を防ぐための努力として併用治療を行うことになっている.
  • CAZ/Avibactam+AZTは,2024年改訂版IDSAガイドラインにおいて治療選択肢として挙げられているが,その有効性を裏付ける臨床データは乏しい(症例報告:Antimicrob Agents Chemother 69: e0017225, 2025).
  • AZT/Avibactamは良好なin vitro活性を示しており(Int J Infect Dis 53: 107803, 2025),活性がCAZ/Avibactam+AZTと共通の作用機序に基づくとするなら,同等の効果が得られる可能性が高い.
  • 観察研究のデータに基づくことだが,S. maltophiliaによる血流および下気道感染の治療においてSTに替えてLVFXを用いるのは理にかなっている(Open Forum Infect Dis 9: ofab644, 2022).
  • FDAはCFDCを,腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症,院内細菌性肺炎,人工呼吸器関連細菌性肺炎に承認した.
  • 多くの株はin vitroでポリミキシン(PL-B,コリスチン)に感性だが,これらの薬剤は毒性のため,まれにしか使われず,最後の手段と考えるべきである.
  • PL-Bの方が使用が容易である.尿中濃度が低いため尿路感染症には使用しない.
  • コリスチンは,もし使うのであれば,尿路感染症のために温存しておく.
  • 文献
ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2026 Life Science Publishing↑ page top
2026/03/31