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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
肺炎-
Acinetobacter
属
(
2026/03/31 更新
)
特異的治療,
Acinetobacter
肺炎
臨床状況
Acinetobacter
属による人工呼吸器関連肺炎(VAP).
以前に広域スペクトラムの抗菌薬による治療を受けていた患者では,カルバペネム耐性または多剤耐性を疑うこと.
概説:
Clin Infect Dis 67: 1455, 2018
.
病原体
Acinetobacter calcoaceticus
-
Acinetobacter baumannii
complexは,いくつかの種を含むが,それぞれの種を同定することは難しい.
5種の
Acinetobacter
属(
A. baumannii
,
A. pittii
,
A. nosocomialis
,
A. seiferttii
,
A. dijkshoorniae
)がヒトの病気に関連している(
Future Sci OA 5: FSO3952019, 2019
)
Acinetobacter baumannii
は,ヒトでの感染の約80%の原因となる
第一選択
臨床検査で
A. baumannii-calcoaceticus
complex
が検出されたが,感受性結果が得られるまでの経験的治療
施設の多剤耐性率<10~15%で,重症でない場合
CFPM
2g8時間ごと
MEPM
2g3時間以上かけて静注8時間ごと
ABPC/SBT
(ABPC 6g/SBT 3g)4時間以上かけて静注8時間ごと(コメント参照)
施設のカルバペネム耐性率>10~15%および/または重症の場合
Sulbactam/Durlobactam
1g/1g 3時間以上かけて静注+
IPM/CS
1g1時間以上かけて静注6時間ごと,または
ABPC/SBT
6g/3g4時間以上かけて静注8時間ごと+
MEPM
2g3時間以上かけて静注8時間ごと+
PL-B
2.5mg/kg2時間以上かけて静注†,その後1.5mg/kg1時間以上かけて静注12時間ごと
検査の結果,複数の薬剤への感受性が明らかになった場合
in vitroで活性のある薬剤による単剤治療,
CFPM
,
MEPM
,
ABPC/SBT
,または
IPM/CS
500mg静注6時間ごと
検査の結果,in vitroですべてのカルバペネム系薬に対する耐性が報告された場合
(
コメント参照
)
感染症専門医へのコンサルテーションが推奨される
Sulbactam/Durlobactam
1g/1g3時間以上かけて静注6時間ごと+
IPM/CS
1g1時間以上かけて静注6時間ごと(ランダム化対照比較試験の結果については,
Lancet Infect Dis 23: 1072, 2023
参照)
(†:日本にない剤形)
第二選択
感性株
CPFX
400mg静注8時間ごと,または
LVFX
750mg静注24時間ごと,または
ST
10mg/kg/日(トリメトプリム成分)2~3回に分轄(
Antimicrob Agents Chemother 60: 6903, 2016
,
Ann Pharmacother 52: 230, 2018
)
カルバペネム耐性株
CFDC
2g3時間以上かけて静注8時間ごと+
MINO
200mg静注/経口12時間ごと,または
TGC
200mg静注1回・その後100mg静注12時間ごと,または
ABPC/SBT(ABPC 6g/SBT 3g)4時間以上かけて静注8時間ごと+MEPM 2g3時間以上かけて静注8時間ごと+PL-B 2.5mg/kg2時間以上かけて静注†・その後1.5mg/kg1時間以上かけて静注†12時間ごと
(†:日本にない剤形)
治療期間
治療期間は不明,臨床反応に従うこと.
コメント
ESBL,AmpC,カルバペネマーゼ産生菌の治療に関するIDSAガイドライン:
2024年改訂IDSAガイドライン
.
他の薬剤の使用
人工呼吸器関連肺炎(VAP)に対する吸入抗菌薬による補助治療:
データは,上記治療に対する吸入抗菌薬の追加を支持していない(
Chest 151: 1239, 2017
;
Crit Care Med 47: 880, 2019
;
Crit Care Med 47: e470, 2019
).
CFDC
カルバペネマーゼ産生菌による院内肺炎,敗血症,複雑性尿路疾患,菌血症の患者を対象に,至適治療(Best Available Therapy:BAT)とCFDCを比較したランダム化オープンラベル試験(
Lancet Infect Dis 21: 226, 2021
)では,28日の全原因死亡率は件数ではCFDC群の方が高かった[BAT 9/49(18%)vs CFDC 25/101(25%),肺炎のサブグループでは4/22(18%)vs 14/45(31%).どちらも統計的有意差はない].
二重盲検ランダム化試験(
Lancet Infect Dis 21: 213, 2021
)では,グラム陰性菌による院内肺炎・人工呼吸器関連肺炎・医療関連肺炎に対し,CFDCはMEPMに対する非劣性を示した.患者16例がMEPM MIC>64μg/mLの
Acinetobacter
属によるものであり,14日全原因死亡率はCFDC群で0%(0/5),MEPM群で46%(5/11)であった.
DRPMはいかなるタイプの肺炎に対しても承認されておらず,500mg8時間ごとを超える用量も承認されていない.
TGCは,菌血症患者では血清中濃度が治療域に達しないこと,他の薬剤と比べ全原因死亡率のリスクが上昇することから第一選択薬ではない(
Clin Infect Dis 54: 1699, 2012
).
MINO静注は,臨床経験が非常に限られている(
Infect Dis Ther 6: 199, 2017
).in vitroのデータからは,MINOとコリスチンその他の薬剤との併用治療は,カルバペネム系薬耐性
Acinetobacter
に対して有効である可能性が示唆される(
Antimicrob Agents Chemother 60: 4047, 2016
;
Am J Health Syst Pharm 73: 279, 2016
).
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2026/03/31