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COVID-19, SARS CoV-2 (2023/04/18 更新) |
COVID-19の管理
重症度 |
指標 |
無症候性 |
症状なし |
軽症 |
発熱,咳,喉の痛み,悪心/嘔吐,下痢,味覚または嗅覚喪失があるが呼吸困難はない.酸素飽和度正常で胸部X線上も正常 |
中等症 |
軽症症状+下気道感染の所見(検査および/または画像),室温での酸素飽和度≧94% |
重症 |
中等症症状だが酸素飽和度<94%,PaO2/FiO2<300mmHg,呼吸数>30/分,肺浸潤>50% |
重篤 |
重症症状だが挿管されていて呼吸不全,敗血症性ショック,および/または多臓器不全 |
治療
状況,重症度,重症化リスク |
治療 |
コメント |
外来または入院,無症候性 |
推奨なし.支持療法 |
緊密な臨床的監視 |
外来,軽症~中等症,重症化高リスクではない |
推奨なし.支持療法 |
緊密な臨床的監視 |
外来,軽症~重症,重症化高リスク |
望ましい処方の順序(NIH治療ガイドライン) パキロビッド(ニルマトレルビル・リトナビル) 300/100経口1日2回・5日(パキロビッドリバウンドについては下記コメント参照),または レムデシビル200mg静注を1日目,その後100mg静注を2~3日目,または モルヌピラビル800mg経口1日2回・5日 |
抗ウイルス治療薬および/またはモノクローナル抗体は,発症後できるだけ早期(3日以内)に投与する. パキロビッド(ニルマトレルビル・リトナビル):5日以内 レムデシビル:7日以内 モルヌピラビル:5日以内 ソトロビマブとBebtelovimabは新たなオミクロン株,BQ.1,BQ.1.1,BF.7に対して活性がない. デキサメタゾン/全身性ステロイドは初期には推奨されない(最初の7~10日,入院および充血の場合を除く) |
入院,軽症(下気道疾患なし),重症化高リスク |
レムデシビル(用量は下記参照),または COVID-19以外の理由で入院している場合はモノクローナル抗体 予防的抗凝固療法(下記参照) |
モノクローナル抗体はできるだけ早期に投与する.症状発症から7~9日以後は投与しないこと デキサメタゾンは推奨されない |
入院,中等症(下気道疾患の所見あり)だが酸素吸入の必要なし.重症化高リスク |
レムデシビル 予防的抗凝固療法(下記参照) |
デキサメタゾンは推奨されない |
入院,重症(酸素飽和度<94%,および/またはPaO2/FiO2<300)で酸素吸入が必要 |
レムデシビル+デキサメタゾン±トシリズマブ バリシチニブ:入院患者で,人工呼吸器やECMO未使用で,重症・重篤な場合;入院後72時間以内に投与するのが理想的. 治療的抗凝固療法:妊娠していない患者でDダイマー>ULN,出血リスクが高くなく,高流量酸素吸入やICUレベルの治療を必要としない場合(詳細は下記抗凝固療法参照). 全員に:予防的抗凝固療法(詳細は下記抗凝固療法参照). |
デキサメタゾン投与が受けられない患者では,第二選択としてバリシチニブ(+レムデシビル)を用いる.トシリズマブの使用については推奨処方の注を参照. |
入院,重篤-機械的人工呼吸またはECMOが必要 |
デキサメタゾン±レムデシビル±トシリズマブ 人工呼吸またはECMO使用開始後2日以内の患者では,標準的処方にVilobelimabを追加できる 予防的抗凝固療法(下記参照) |
レムデシビルの有用性は証明されていないが,一部の専門家は推奨している ICU入室の最初の24時間ではIL-6受容体阻害薬を考慮(レムデシビルおよびデキサメタゾンとは併用可能だが,バリシチニブとの併用は推奨されない) デキサメタゾンを投与できない患者では,バリシチニブを考慮する.トシリズマブの使用については,下記「推奨される処方,用量」を参照. |
種類 |
薬剤 |
用量/期間 |
適応 |
コメント |
抗ウイルス |
モルヌピラビル |
800mg(200mgカプセル4錠)経口12時間ごと・5日,食事の影響を受けない |
軽症~中等症で,1つ以上の重症化リスク因子(肥満,年齢>60歳,糖尿病,心血管疾患)のある成人患者 |
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抗ウイルス |
パキロビッド(ニルマトレルビル・リトナビル) |
ニルマトレルビル 300mg(150mg錠2錠)+リトナビル 100mg(1錠),計3錠経口1日2回 |
SARS-CoV-2ウイルス検査陽性で,1つ以上の重症化リスク因子(肥満,年齢>60歳,糖尿病,心血管疾患など.薬剤のページを参照)のある12歳以上のすべての患者 |
薬物間相互作用に注意(リトナビルは強力なCYP3A4阻害薬) パキロビッド 治療最終投与後3~4日にリバウンド(症状の再燃)が起こる.リバウンドの症状が重大な場合には再治療が推奨される |
抗ウイルス |
レムデシビル |
成人(体重>40kg):初回200mg静注・1日目,その後維持用量100mg静注1日1回,各回30~120分かけて投与 小児(体重3.5~40kg):初回5mg/kg 1日目,その後維持用量2.5mg/kg 期間:人工呼吸/ECMO使用がなければ5日.5日で臨床的改善がみられなければ10日まで延長.機械的人工呼吸/ECMO使用患者では10日 |
重症の入院患者.中等症および重篤患者でも考慮する. |
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抗ウイルス(モノクローナル抗体) |
Bamlanivimab +Etesevimab |
(Bamlanivimab 700mg+Etesevimab 1400mg)医療施設で1回同時投与 |
軽症~重症で,さらなる重症化や入院のリスクが高い外来患者 |
発症後早期の投与でもっとも効果が大きい.デルタ・プラス株またはオミクロン株が疑われる場合には使用しない. |
抗ウイルス(モノクローナル抗体) |
Bebtelovimab |
175mg静注1回 |
軽症~中等症で,さらなる重症化や入院のリスクが高い外来患者 |
オミクロンBA.2亜種に対して活性があるが,BQ.1,BQ.1.1,BF.7には活性がない |
抗ウイルス(モノクローナル抗体) |
カシリビマブ・イムデビマブ |
カシリビマブ・イムデビマブ 合剤1200mg (カシリビマブ600mg +イムデビマブ600mg) 1回静注 |
軽症~重症で,さらなる重症化や入院/死亡のリスクが高い外来患者 |
発症後早期の投与でもっとも効果が大きい.各抗体の用量は2021年6月3日に600mgに引き下げられた.オミクロン株が疑われる場合には使用しない. |
抗ウイルス(モノクローナル抗体) |
ソトロビマブ |
500mg30分以上かけて静注 |
軽症~重症で,さらなる重症化や入院のリスクが高い外来患者 |
発症後早期の投与でもっとも効果が大きい.ほとんどのオミクロン株亜種には無効 |
抗炎症(IL-6阻害薬) |
トシリズマブ |
8mg/kg,実際の体重で最大800mgを1回静注,改善がみられなければ12~24時間後に2回目投与 |
重症または重篤な入院患者.RECOVERY試験の登録基準はCRP≧75mg/Lで定義された全身性炎症反応を含む |
早期(つまり入院48時間以内またはICU入室後<24時間)の投与で効果は最大. 特にコルチコステロイドとの併用時に感染リスク増大の可能性.細菌,真菌および他の日和見感染による二次感染を臨床的にモニターすること. |
抗炎症(JAK阻害薬) |
バリシチニブ |
4mg経口1日1回(14日まで)+レムデシビル200mg1日目,その後100mg静注1日1回10日まで±デキサメタゾン |
入院患者で,重症または重篤だが機械的人工呼吸またはECMOを使用していない場合,理想的には入院後72時間以内に投与する. |
コルチコステロイドが使用できないまれな状況で,レムデシビルとの併用で用いてよい.また,IL-6阻害薬の代わりにコルチコステロイドと併用することもあるが,IL-6阻害薬とは併用しないこと. |
抗炎症(JAK阻害薬) |
トファシチニブ |
10mg経口12時間ごと(14日まで)+レムデシビル200mg1日目,その後100mg静注1日1回・10日まで+デキサメタゾン |
入院患者で,重症または重篤だが機械的人工呼吸またはECMOを使用していない場合,理想的には入院後72時間以内に投与する. |
バリシチニブの代わりに使用可.理想的には,IL-6阻害薬の代わりにデキサメタゾンとの併用で用いるが,IL-6阻害薬とは併用しないこと. |
抗炎症(抗補体(C5a)) |
ビロベリマブ |
800mg静注(最大6回投与),第1,2,4,8,15,22日 |
入院患者で重症,機械的人工呼吸またはECMO使用開始後48時間以内 |
標準的治療(SOC)との併用でSOC+プラセボより死亡率を低下させたという臨床試験が2つある |
抗炎症 |
デキサメタゾン |
酸素吸入または機械的人工呼吸患者で6mg1日1回静注または経口・10日 |
重症および重篤な入院患者 |
酸素吸入を受けていない患者には推奨されない RECOVERY試験(N Engl J Med 384: 693, 2021)では28日死亡率が低下.重篤な患者に関するメタアナリシス)(JAMA 324: 1330, 2020)では,デキサメタゾンで28日生存率が上昇した. |
時期 |
検査依頼の順序 |
入院時 |
・血算および分画,トロポニン,肝機能検査,生化学検査Chem10,CPK ・フェリチン,CRP,LDH,Dダイマー,PT/PTT/フィブリノゲン ・リスク層別化のため(患者が臨床的に悪化したら繰り返す) LDH(上昇したら毎日繰り返す) トロポニン 治療前心電図 ・ウイルス血清学(最近チェックしていなければ) HIV HCV抗体 HBs抗体,HBc抗体およびHBs抗原 ・臨床的に適応の場合: 血液培養2セット,喀痰培養,培養を反映する検尿, 尿中Streptococcus/Legionella抗原 妊娠可能な女性ではβHCG |
推奨される毎日の検査(安定するまで) |
・血算および分画(特に総リンパ球数) ・全代謝検査 ・CPK ・入院1週目にCRP.1週を過ぎると炎症マーカーは解釈が困難 |
推奨される1日おきの検査(上昇するか患者がICUに入室したら毎日) |
・PT/PTT/フィブリノゲン ・Dダイマー |
放射線検査 |
入院時にポータブル胸部X線.評価に基づき,二次細菌感染,肺塞栓などの懸念がある場合にはさらなる画像検査を行う. |
抗微生物薬適正使用の検討
コメント
状態 |
隔離期間 |
隔離期間後 |
注意 |
COVID-19陰性の検査結果 |
5日後に隔離終了 |
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ワクチン状態にかかわらずCOVID-19陽性または症状あり |
少なくとも5日隔離(isolate).他の人から隔離し,適正なマスクを着用 |
5日後,24時間発熱がなく,症状が改善していれば隔離終了 中等症または重症となった場合は,少なくとも10日間は隔離を継続 |
検査陽性または発症から10日間 マスク着用.旅行は禁止.高リスク者との接触は避ける |
低(グリーン) |
中(イエロー) |
高(オレンジ) |
ワクチンのUp-to-date化 症状検査 |
ワクチンのUp-to-date化 症状検査 重症感染へのリスクが高い場合はマスク着用 |
重症感染へのリスクが高い場合はマスク着用 ワクチンのUp-to-date化 症状検査 リスクに応じて他の対策も考慮する |