日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

ヒトパピローマウイルス,ワクチン  (2026/03/10 更新)
HPV


ワクチン接種の適応

ルーチン
  • 11~12歳の男女全員(性的虐待があった場合は9歳から開始)
  • 全員にワクチン接種.ワクチン前の検査またはリスク評価は推奨されず,疣贅の病歴は例外でない.
  • ワクチン接種が不十分な妊娠していない女性と男性全員に対して,26歳までにキャッチアップ接種.
  • 年齢27~45歳の成人はルーチンには推奨されず,話し合う必要もない.
  • この年齢層でワクチン接種が不十分かつリスク行動のある人とは話し合いを検討する.しかし,この年齢層では,より若い年齢層と比較して新しいセックスパートナーをもつ可能性は低い.
  • ほとんどの成人は,既にいずれかの血清型のHPVに感染しているため,ワクチン接種による追加効果は比較的小さい.米国がん協会はこの年齢層のワクチン接種を推奨していない.
  • この年齢層で,27歳前に接種コースを完了していない人は,患者のリスク,予防に関する希望などについての共有意志決定に基づいて接種コースを完了してもよい.
  • ガーダシル(4vHPV)またはサーバリックス(2vHPV)でのワクチン接種を十分に受けている人は,ガーダシル9(9vHPV)による追加接種の必要はない.
  • 既にサーバリックス(2vHPV)のワクチン接種を受けている男性は,ガーダシル9(9vHPV)による再接種を受けなければならない.
  • 一部の専門家は9vHPVによる再接種を推奨しているが,支持するデータはない.
海外渡航
  • 渡航計画とは関係なく,ルーチンのガイドラインに基づき全員にルーチンのワクチン接種
用量とスケジュール
商品名(製造元)
ガーダシル9(メルク)
ワクチン(タイプ,CDC略語)
ヒトパピローマウイルス,組み替え,不活化(9vHPV)
年齢
女性/男性,9~45歳
用量,経路
0.5mL 筋注
初回接種スケジュール-標準コース(ルーチン)
(11~12歳:性的虐待があれば9歳)
0,6~12ヵ月1,2
初回接種スケジュール-標準コース(15~26歳)
0,1~2,6ヵ月3
初回接種スケジュール-ルーチンには推奨されない
(27~45歳)
0,1~2,6ヵ月
初回接種スケジュール-短縮コース(11~12歳)
0,5ヵ月
初回接種スケジュール-短縮コース(15~45歳)
0,1,5ヵ月(上記のとおり共同意思決定)
第1回追加接種(全年齢)
なし
  1. 年齢<15歳では,2回連続接種で開始可能.第1回と2回の間隔が4ヵ月以内なら,第2回接種の少なくとも4ヵ月後に追加接種1回
  2. 免疫不全またはHIVの場合,ワクチン接種が9~14歳で開始されていても3回連続接種を行う.
  3. ルーチンの3回連続接種は年齢≦26歳で開始可能.最短間隔:第1回と第2回:4週/第2回と第3回:12週/第1回と第3回:5ヵ月;接種が早すぎたら,接種を繰り返す.

有効性,予防効果持続期間/選択,互換性

有効性,予防期間
  • ワクチン接種によりワクチン血清型の新たな感染は予防されるが,既存のHPV感染ががんへ進行することは予防できない.
  • 1つあるいはそれ以上の血清型に感染している場合も,ワクチンにより他の血清型の感染を防ぐことができる.
  • HPVには非ワクチン型HPVに対する予防効果はない
  • 2006年のHPVワクチン接種導入以来,肛門性器疣贅および子宮頸部の前がん病変は,それぞれ75%および50%以上減少した.
  • HPVワクチン接種は,2060年までに子宮頸がんの発症を80%減少させると推計されている.
  • ワクチン効果(VE)の90%は,接種後少なくとも10年は減弱しない.
  • 二価または九価HPVワクチンの1回接種は,HPV16またはHPV18感染に対する予防となり,2回接種と比較して非劣性であることが示された:N Engl J Med 393: 2421, 2025
  • 男性および女性でのHPVによる口腔咽頭および頭頸部がんの予防に適応がある.
  • この適応に関する確認のための臨床検査が待たれている
選択,互換性
  • 以前に,または米国外で初発の4価ガーダシルまたはサーバリックスでワクチン接種を開始した場合は,ガーダシル9を用いたHPVワクチン接種を完了させなければならない.ガーダシル(9vHPV)を用いた場合は,男性に対するサーバリックス接種回数はカウントすべきでなく,繰り返す必要もない.
  • 3回接種コースを2vHPVまたは4vHPVで開始して9vHPVでコース完了した場合には,9vHPVの追加接種は推奨されない

毒性

禁忌
  • 以前の接種での,またはワクチン含有成分に対するアナフィラキシー反応.
  • ワクチンには酵母が含まれている.
警告
  • 定義:一般にワクチン接種は延期すべきだが,副反応のリスクよりもワクチンによる予防の有用性が上回る場合には適応となることがある.
  • 中等症または重症急性患者(発熱の有無にかかわらず)
副作用
  • 軽症または中等症の副作用:発熱,頭痛,悪心,めまい,疲労,注射部位の反応.
薬物相互作用
  • ガーダシルは他のワクチンと同時(あるいは前後のどの時期でも)併用可能

特に注意が必要な患者集団

妊婦,授乳
  • 妊婦のリスクについての広範なヒトおよび動物研究のエビデンスはないが,HPVワクチン接種は妊娠中には推奨されない
  • ルーチンの妊娠検査は,ワクチン接種前には推奨されない.
  • 妊娠中にワクチン接種を受けた,あるいは接種後に妊娠した場合は,妊娠終了後に連続接種を完了させる.
  • ワクチン接種は授乳の禁忌ではない
免疫不全/HIV
  • 生ワクチンではなく,免疫不全者に接種できるが,反応は最適とはならない.
  • 9~14歳でワクチン接種を開始したとしても,3連続接種を行うこと.

血清検査

  • HPVのいずれの型に対する免疫性も,臨床的抗体検査では決定できない.

コメント

  • ワクチン接種によって,子宮頸部がんの定期的検査や,あるいは適応がある場合の肛門がんの検査が不要となるわけではない.
  • 二価(サーバリックス)および4価(ガーダシル)ワクチンは,一部の国では現在も使われている.
  • 第2回および/または第3回接種(合計接種数は第1回接種時の年齢に基づく)は26歳以降に行うこともできる.
  • 医療資源の乏しい状況でのWHO推奨
  • 年齢9~14歳の少女には1回または2回接種スケジュール
  • 年齢15~20歳の女性には1回または2回接種スケジュール
  • 21歳以上の女性には6ヵ月間隔をあけての2回接種
  • 免疫不全者(HIVを含む)は3回接種を受けなければならないが,できなければ少なくとも2回.
  • 米国の専門機関ではまだ検討されていないが,二価または九価HPVワクチン1回接種は,HPV16またはHPV18感染に対する防御効果があり,12~16歳の女子では2回接種に非劣性であることが示された:N Engl J Med 393: 2421, 2025
  • CDC ACIPの推奨は,実際にワクチン接種を行う医療従事者がアクセスすることの多いFDA添付文書と比べて,より広い(適応外使用)こともより狭いこともある.
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2026/03/10