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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
COVID-19,感染伝播,曝露,隔離
(
2024/08/20 更新
)
COVID-19,曝露,隔離,検疫
はじめに
SARS-CoV-2は感染性の強いウイルス感染であり,主として液滴(空気感染)を通じて感染伝播する.
CDCは,呼吸器ウイルス感染に関する最新のガイドラインを発表した(2024年3月1日,
CDC呼吸器ウイルスガイダンス
を参照).
COVIDは依然として,高リスクの人々に対する重大な健康上の脅威であるが,その影響は,たとえばインフルエンザのような,特に高リスク者には,疾患と死亡の重大な原因となる他の呼吸器ウイルスと現在では同等である.そのため,CDCが発行した最新のガイドラインにおいては,呼吸器ウイルスに関する統一的な推奨を行い,個々のウイルスごとに別々のガイダンスを発行することを避けている.
SARS-CoV-2を含む呼吸器ウイルス感染の重症化リスク因子は以下のとおり.
高齢成人(年齢>65歳)
若年小児(年齢<2歳)
免疫機能が低下している人々(長期コルチコステロイド,炎症性疾患に対する生物学製剤の使用[たとえば,リツキシマブ],抗がん化学療法を受けている人,移植患者)
身障者
妊婦
感染伝播
主として飛沫感染であり,エアロゾル感染は多くない:無症候の人からでも感染伝播が起こることがある.
汚染された物体の表面(感染の媒介物)との接触での感染伝播の可能性は低い(一般に 1:10000);2024年4月10日の
CDCガイダンス
による.
ウイルス排出のピークは発症前に生じる.下図参照(
Nat Med 26: 672, 2020
;図1cを許可を得て引用).しかし,最近の研究ではオミクロン変異株感染ではウイルス血症のピークが遅くなることが示されている(
Clin Infect Dis 2024年2月15日
).
平均潜伏期間は曝露後5日までと推定される(範囲4.1~7.0日,ただし最短では36時間).
ウイルス排出
(文献:
Nature 581: 465, 2020
;
Lancet Infect Dis 20: 565, 2020
;
Nat Commun 12: 267, 2021
;
N Engl J Med 384: 671, 2021
)
感染性ウイルスは発症後1週以降には分離されることは少なく,2週間後では5%にまで落ちる.
唾液および鼻咽頭分泌物からのRT-PCR検査によるウイルスRNA排出は,約6日は高く,発症第2週では大幅に低下し,通常2~3週後にはみられなくなる.
変異型SARS CoV-2の出現
変異型の出現とワクチンの有効性への影響および再感染の可能性については,CDCの現在の情報を参照.
アルファおよびベータ株は,最初の野生型株よりも約50~60%感染力が強い.
デルタ株はアルファ株よりも約60%感染力が強く伝播しやすい(最初の野生株よりも約90%感染力が強い).
オミクロン株はデルタ株よりも約2倍伝播しやすい.基本再生産数は麻疹に近い(非常に感染性が高い).
再感染
COVID-19症例数の増大は再感染によるものである.感染既往の予防効果は約6ヵ月以上と推計される.
ワクチン接種により,有症性感染の予防期間が延長する.
COVID-19ワクチンにより,高リスク者では重症化リスクが>50%低下し,高リスク因子のない人では>90低下する.
予防としての治療
治療,とりわけ感染初期(症状出現後<48時間)に始めた治療はウイルス排出時間を短縮し,その結果として他者への伝播リスクを低下させる.
予防措置/曝露/検疫/隔離
予防措置(Precautions)
すべての呼吸器病原体(たとえば,SARS-CoV-2,インフルエンザ,RSウイルス)に同一の措置を行う
曝露と隔離(Exposure/Isolation/Quarantine)に関する改訂されたCDCガイダンス(2024年3月1日)
適正なマスクとはKN-95,N-95(布でない)のこと
マスクは有効!(
JAMA Netw Open 6: e2339443, 2023
)
CDCガイダンス(2024年7月3日)
によるワクチン接種状態
Up to Date Statusとは,最初の連続接種完了+追加接種(適応となる場合)を受けたことを意味する.
ワクチン接種完了(Fully vaccinated)とは,最初の連続接種完了を意味する.
家族など近しい関係にあって重症疾患のリスク因子をもつ人を保護するために,対人接触を再開する前に抗原検査を使用することができる.
曝露(Exposure)
自分または自分のまわりの人々が呼吸器ウイルスに曝露された,発症した,あるいは回復しつつある場合は,ただちに予防措置を開始する.
免疫不全のある人,心呼吸器系の疾患をもつ人との接触を避ける
マスクの着用は賢明であり,屋内で人々の集団(重症化のリスクが高い人が含まれる可能性がある)と接触する場合,またはリスクのある人との接触が予想される場合には,暴露前の検査が推奨される.
以上のような予防措置を続け,少なくとも5日間は症状の有無をチェックする.
無症状だが,曝露前措置(上記参照)として行われた試験が陽性の場合は,隔離は不要で通常生活を続ける
通常生活に戻るためには以下のように予防措置を続ける.
症状が発現したら,ただちに検査を受ける(可能ならPCR/RNA検査が望ましいが,さもなければ迅速(抗原)家庭用検査を用いる)
検査結果を待つ間に症状が進行した場合は他者との接触を避ける
結果が陽性なら,ただちに隔離,以下のガイダンスに従う
隔離(Isolation)
COVID-19陽性の場合は(ワクチン接種状態にかかわらず)隔離する.
症候性感染
呼吸器ウイルスによるとしか説明できない症状がある場合には,外出せず家にとどまり,他者(病気でない同居人を含む)との接触を避ける.ここで症状とは,発熱,寒気,疲労感,咳,鼻水,頭痛その他を指す.
通常の生活に戻るには,以下の条件が少なくとも24時間にわたって満たされねばならない:
全般的な症状改善
無熱
通常生活に戻って最初の5日間の注意事項:
さらに以下のような対策を行う:
室内の空気環境の改善(たとえば,窓開け,換気の増加,空気清浄機の使用)
衛生改善(手洗い)
マスクを着用する
対人距離の確保(相手から2メートル以上離れる)
人混みを避ける
旅行を避ける(可能ならば)
および/または,室内に人(特に高リスク者)がいる場合には曝露前検査を受ける
無症候性感染
:最初の5日間:注意事項は上記と同様
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2024/08/19