日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

HIV検査の推奨  (2024/11/12 更新)
HIV検査のガイドライン


HIV検査ガイドライン,概説

  • 性生活のある人は全員,年齢に関係なく,少なくとも1回はHIV検査を受けたほうがよい.持続的なリスクのある人は,HIV感染のリスクが大きく,性感染症のスクリーニングや検査を受けたことがある場合は,少なくとも年1回は検査を受けたほうがよい.
  • 幅広いHIV検査と治療との連携は,米国CDCプログラム(Ending the HIV Epidemic,2019)の基盤である.
  • CDCはHIV検査における署名同意をなくし,医療ケアに対する一般的同意に含めることを支持している.検査前のカウンセリングは高リスクグループの患者を除き推奨されない.患者には口頭で,医療ケアの一部として検査を受けること,そして受けない選択肢もあることを説明する.その際,HIV感染について,伝播の仕方,陽性だった場合に予想されることを説明し,議論する.患者が検査を辞退した場合には,その旨をカルテに記録する.
  • スクリーニング検査および確定検査のいずれにおいても,陽性の結果は特に女性にとっては重大であり,肉体的かつ心理的な傷となりうる.カウンセリングやパートナーへの告知のための専門家への紹介ができるようにしておく.
  • 新しい推奨は方向転換を示唆しているが,各州の法律と矛盾する可能性もある.臨床家は同意とカウンセリングに関する地域での法規を意識する必要がある.CDC州法集成参照.

検査後のカウンセリング

  • 迅速HIV抗体検査は,20分以内に結果が判明し,ベッドサイド検査としての有効性が高い.しかし,HIV RNA(ウイルス量)のような確定検査は依然として必要である.検査結果が陽性であった患者に対するカウンセリングはきわめて重要である.以下のような問題について議論する:
  • 現在ではHIV感染は,合併症を伴う糖尿病のような疾患と同様,管理が可能であることを強調する
  • HIV感染を公表することに対する偏見と恐怖
  • 現在あるいは過去のセックスパートナーへ知らせる必要
  • 潜在的リスクがある子どもやパートナーの検査
  • 抗レトロウイルス治療およびARV治療開始に関する情報をできるだけ早く提供する
  • 治療を開始し,HIV RNAが検出されなくなったら,性行為による他者への感染の可能性はゼロに近いことを告げる
  • 安全な性行動の厳密な遵守(特にコンドームを必ず使うこと)
  • 脱抑制を引き起こす薬剤を避けること(アンフェタミンなど)
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2024/11/11