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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
小形クリプトスポリジウム
(
2024/12/03 更新
)
Cryptosporidium
胃腸感染症,HIV/AIDS
臨床状況
特にHIV陽性/AIDS患者において,
Cryptosporidium
によって起こる消化管感染症.
男性同性愛者(MSM)の間で性的に伝播する.
免疫正常の成人では自然治癒する水様性下痢であり,通常は治療を必要としないが,症状は数週から数カ月持続することがある.
AIDSまたは重症免疫不全患者では吸収不良を伴う難治性の下痢が起こる.
Cryptosporidium
感染は胆管や肺などでも起こり,結膜にみられることもある.
塩素消毒に耐性のため,水泳プールでの感染がある.
一般的に,満足のいく治療効果は得られない.一般的な総説を参照(
Lancet Infect Dis 15: 85, 2015
).
背景にある免疫抑制を治療すれば改善する.
症状に対しては,ロペラミドよりもアヘンチンキの方がよいかもしれない.無乳糖食を試みてもよい
診断/病原体
診断
鏡検には抗酸菌染色が必要.
市販の検査としては,便抗原,免疫蛍光法,PCRが利用可能.
オーシストの排泄は間欠的なため,数日あけて採取した3つの糞便検体を検査することが推奨される.
胆道疾患(HIV患者)の診断にはERCPが必要な場合がある.
括約筋切開,ステント,あるいは両者ともが有用なことがある
病原体
C. hominis
(ヒトにのみ感染)
C. parvum
(ウシ/ヒツジ起源でヒトにも感染)
C. meleagridis
C. occultus
少なくとも他に14の人獣共通種があり,ヒトへ感染する種もある.
第一選択
免疫正常/HIV陰性
Nitazoxanide
500mg錠経口1日2回・3日:コースを複数回繰り返すこともある
症状が続いていれば,7日目に糞便を再検査
1~3歳:100mg経口懸濁液1日2回・3日
4~11歳:200mg経口懸濁液1日2回・3日
免疫不全/HIV陽性
効果的な抗レトロウイルス治療が最良の治療.
Nitazoxanide
500~1000mg経口1日2回・14 日間+最適化ARTを試してもよい(1件の小規模研究).
免疫不全患者での使用は承認されていない
第二選択
なし
抗微生物薬適正使用
パロモマイシン(あるいはパロモマイシン/AZM)は概して高用量(500mg経口1日4回・14~21日)でも効果がないと考えられているが,ARTを導入しながら試してみる臨床医もいる.
コメント
第1回Nitazoxanideコース後の免疫機能正常成人での臨床的治癒は72~88%,寄生虫学的治癒は60~75%.
C. hominis
は,
C. parvum
と異なり腸管以外の病変,主に反応性関節症に関連する(
Clin Infect Dis 39: 504, 2004
).
総説:
Curr Trop Med Rep 2: 181, 2015
.
HIV患者は胆管感染を起こすことがあり,診断にはERCPが必要となる.括約筋切開術,ステント(あるいはその双方)が有用なこともある.
小型クリプトスポリジウムに対する
CDC HIV 日和見感染症の予防と治療に関するガイドライン
.
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2024/12/02