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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
小形クリプトスポリジウム
(
2024/01/16 更新
)
Cryptosporidium
胃腸感染症,HIV/AIDS
臨床状況
特にHIV陽性/AIDS患者において,
Cryptosporidium
によって起こる消化管感染症.男性同性愛者(MSM)の間で性的に伝播する.
免疫正常の成人では自然治癒する水様性下痢であり,通常は治療を必要としないが,症状は数週から数カ月持続することがある.
AIDSまたは重症免疫不全患者では吸収不良を伴う難治性の下痢が起こる.
Cryptosporidium
感染は胆管や肺などでも起こり,結膜にみられることもある.
塩素消毒に耐性のため,水泳プールでの感染がある.
一般的に,満足のいく治療効果は得られない.一般的な総説を参照(
Lancet Infect Dis 15: 85, 2015
).
背景にある免疫抑制を治療すれば改善する.
症状に対しては,ロペラミドや無乳糖食よりもアヘンチンキの方がよいかもしれない.
診断/病原体
診断
鏡検には抗酸菌染色が必要.
市販の検査としては,便抗原,免疫蛍光法,PCRが利用可能.
オーシストの排泄は間欠的なため,数日あけて採取した3つの糞便検体を検査することが推奨される.
胆道疾患の診断にはERCPが必要な場合がある.
病原体
C. hominis
(ヒトにのみ感染)
C. parvum
(ウシ/ヒツジ起源でヒトにも感染)
C. meleagridis
C. occultus
少なくとも他に14の人獣共通種があり,ヒトへ感染する種もある.
第一選択
免疫正常/HIV陰性
Nitazoxanide
500mg経口1日2回・3日
免疫不全/HIV陽性
効果的な抗レトロウイルス治療が最良の治療.
Nitazoxanide
500~1000mg経口1日2回・14 日間+最適化ARTを試してもよい.
抗微生物薬適正使用
パロモマイシン(またはパロモマイシン/AZM)は,一般に高用量(500mg経口1日4回・14~21日)でも無効と考えられているが,一部の臨床家はART開始に際して試みることがある.
コメント
C. hominis
は,
C. parvum
と異なり腸管以外の病変,主に反応性関節症に関連する(
Clin Infect Dis 39: 504, 2004
).
総説:
Curr Trop Med Rep 2: 181, 2015
.
プロテアーゼ阻害薬(PI)を含む抗レトロウイルス治療を行った症例報告があり,PIは
Cryptosporidium
に対し抑制効果をもつ可能性がある.
HIV患者は胆管感染を起こすことがあり,診断にはERCPが必要となる.括約筋切開術,ステント(あるいはその双方)が有用なこともある.
小型クリプトスポリジウムに対するCDC
HIV 日和見感染症の予防と治療に関するガイドライン
.
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2024/01/15