Technivie（Ombitasvir/Paritaprevir/リトナビル） (2023/10/24 更新)

Contents

1.　用法および用量
　 1.　使用
　 2.　成人用量
　 3.　小児用量
　 4.　腎障害時の用量調整
　 5.　肝障害時の用量調整
2.　副作用/妊娠時のリスク
3.　抗微生物スペクトラム
4.　薬理学
5.　主要な薬物相互作用

1.　用法および用量

　1.　使用

TechnivieはOmbitasvir＋Paritaprevir/リトナビルの固定用量合剤であり，肝硬変のないHCV genotype 4感染患者の治療にリバビリンとの併用で用いられる．
注：多くの薬物相互作用と禁忌がある（下表参照，すべてを網羅しているわけではない）
【日本の状況】日本では，2018年5月をもって製造・販売中止（ヴィキラックス配合錠）．

　2.　成人用量

（2錠経口・1日1回午前に食事とともに＋リバビリン）・12週．Technivie 1錠中に，Ombitasvir 12.5mg，Paritaprevir 75mg，リトナビル50mgを含む．

　3.　小児用量

18歳未満の患者での用量は確立していない．

　4.　腎障害時の用量調整

なし

　5.　肝障害時の用量調整

中等症肝障害（Child-Pugh分類B）患者には推奨されない．
重症肝障害（Child-Pugh分類C）患者では禁忌．

2.　副作用/妊娠時のリスク

副作用

禁忌：重症肝障害，排泄をCYP3Aに高度に依存する薬剤との併用，リトナビルに対する過敏反応がある場合（たとえばStevens-Johnson症候群）
最も多い副作用：無力，倦怠感，悪心，不眠．
警告［Black Box Warning］：HBV抑制治療を受けていないHBV/HCV重複感染患者で，DAA治療中および治療後にHBV再活性化（ときとして劇症となる）が起こったという症例が報告されている．

妊娠時のリスク

FDAリスク区分（旧）：B
授乳中の使用：安全性は確立されていない．可能なら使用は避ける．

3.　抗微生物スペクトラム

C型肝炎ウイルス（HCV），genotype 4

4.　薬理学

PK/PD指標	データなし
剤形	錠（Ombit 12.5mg，Parita 75mg，RTV 50mg）
食事に関する推奨（経口薬）1	食事とともに
経口吸収率（％）	Ombit 48 Parita 53
Tmax（時間）	Ombit 5 Parita 4～5 RTV 4～5
最高血清濃度2（μg/mL）	Ombit 0.082（25mg経口24時間ごと，SS） Parita 0.19（150mg経口24時間ごと，SS） RTV 0.54（100mg経口24時間ごと，SS）
最高尿中濃度（μg/mL）	データなし
蛋白結合（％）	Ombit 99.9 Parita 97～98.6 RTV ＞99
分布容積3（Vd）	Ombit 173 L（Vss） Parita 103 L（Vss） RTV 21.5 L（V/F）
平均血清半減期4（T1/2, 時間）	Ombit 21～25 Parita 5.5 RTV 4
排泄	Ombit 胆汁 Parita 代謝 RTV 代謝
胆汁移行性5（％）	データなし
脳脊髄液/血液6（％）	データなし
治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性7	データなし
AUC9（μg・時間/mL）	Ombit 1.24（25mg経口24時間ごと，0～24時間） Parita 2.28（150mg経口24時間ごと，0～24時間） RTV 6.1（100mg経口24時間ごと，0～24時間）

注記のない場合は成人用経口製剤
SD：単回投与後，SS：複数回投与後の定常状態
V/F：（Vd）÷（経口生物学的利用能），Vss：定常状態におけるVd，Vss/F：（定常状態におけるVd）÷（経口生物学的利用能）
CrCl＞80 mL/分と想定
（胆汁中の最高濃度）÷（血清中の最高濃度）×100
炎症時における脳脊髄液濃度
薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定
AUC：血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve．0～inf＝AUC0-inf，0～x時間＝AUC0-x

5.　主要な薬物相互作用

薬剤	濃度への影響	推奨される対応
Alfuzosin	Alfuzosinの濃度↑	併用禁忌
アルプラゾラム	アルプラゾラムの濃度↑	モニター，用量調整
アミオダロン	アミオダロンの濃度↑	モニター，用量調整
アムロジピン	アムロジピンの濃度↑	モニター，用量調整
アタザナビル±リトナビル	Paritaprevirの濃度↑	併用を避ける
アトルバスタチン	アトルバスタチンの濃度↑	併用禁忌
ベプリジル	ベプリジルの濃度↑	モニター，用量調整
ブプレノルフィン/ナロキソン	ブプレノルフィン，norbuprenorphineの濃度↑	モニター
カンデサルタン	カンデサルタンの濃度↑	モニター，用量調整
カルバマゼピン	Ombitasvir, Paritaprevir, リトナビルの濃度↓	併用禁忌
Carisoprodol	Carisoprodolの濃度↓	モニター，用量調整
コルヒチン	コルヒチンの濃度↑	腎/管障害では禁忌
Cyclobenzaprine	Cyclobenzaprine, norcyclobenzaprineの濃度↓	モニター，用量調整
シクロスポリン	シクロスポリンの濃度↑	モニター，用量調整
ダルナビル/リトナビル	ダルナビルの濃度↓	未治療患者：ダルナビル800mg1日1回，リトナビルは使用しない
ジアゼパム	ジアゼパム，ノルジアゼパムの濃度↓	モニター，用量調整
ジゴキシン	ジゴキシンの濃度↑	モニター，用量調整
ジルチアゼム	ジルチアゼムの濃度↑	モニター，用量調整
ジソピラミド	ジソピラミドの濃度	モニター，用量調整
Dronedarone	Dronedaroneの濃度↑	併用禁忌
エファビレンツ	トランスアミナーゼ↑	併用禁忌
麦角誘導体	麦角誘導体の濃度↑	併用禁忌
エチニルエストラジオール	ALT上昇	併用禁忌
エベロリムス	エベロリムスの濃度↑	併用禁忌
フェンタニル	フェンタニルの濃度↑	モニター，用量調整
フレカイニド	フレカイニドの濃度↑	モニター，用量調整
フルチカゾン	フルチカゾンの濃度↑	併用を避ける
フロセミド	フロセミドの濃度↑	モニター
Hydrocodone	Hydrocodoneの濃度	モニター，用量調整
ケトコナゾール	ケトコナゾールの濃度↑	ケトコナゾールの最大用量200mg1日1回
リドカイン	リドカインの濃度↑	モニター，用量調整
ロピナビル/リトナビル	Paritaprevirの濃度↑	併用を避ける
ロサルタン	ロサルタンの濃度↑	モニター，用量調整
ロバスタチン	ロバスタチンの濃度↑	併用禁忌
ルラシドン	ルラシドンの濃度↑	併用禁忌
メトホルミン	影響は不明	モニター
メキシレチン	メキシレチンの濃度↑	モニター，用量調整
ミダゾラム（経口）	ミダゾラムの濃度↑	併用禁忌
ニフェジピン	ニフェジピンの濃度↑	モニター，用量調整
オメプラゾール	オメプラゾールの濃度↓	モニター，オメプラゾールの最大用量40mg1日1回
フェノバルビタール	Ombitasvir, Paritaprevir, リトナビルの濃度↓	併用禁忌
フェニトイン	Ombitasvir, Paritaprevir, リトナビルの濃度↓	併用禁忌
ピモジド	ピモジドの濃度↑	併用禁忌
プラバスタチン	プラバスタチンの濃度↑	プラバスタチンの最大用量40mg1日1回
プロパフェノン	プロパフェノンの濃度↑	モニター，用量調整
クエチアピン	クエチアピンの濃度↑	用量調整または避ける
キニジン	キニジンの濃度↑	モニター，用量調整
Ranolazine	Ranolazineの濃度↑	併用禁忌
リファンピシン	Ombitasvir, Paritaprevir, リトナビルの濃度↓	併用禁忌
リルピビリン	リルピビリンの濃度↑	併用を避ける
サルメテロール	サルメテロールの濃度↑	併用を避ける
シルデナフィル（肺動脈性肺高血圧に対して）	シルデナフィルの濃度↑	併用禁忌
シンバスタチン	シンバスタチンの濃度↑	併用禁忌
シロリムス	シロリムスの濃度↑	併用禁忌
セイヨウオトギリソウ	Ombitasvir, Paritaprevir, リトナビルの濃度↓	併用禁忌
タクロリムス	タクロリムスの濃度↑	併用禁忌
トリアゾラム	トリアゾラムの濃度↑	併用禁忌
バルサルタン	バルサルタンの濃度↑	モニター，用量調整
ベラパミル	ベラパミルの濃度↑	モニター，用量調整
ボリコナゾール	ボリコナゾールの濃度↓	併用を避ける